こうして毎日生まれも育ちも違うふたりが朝から一緒に居る
のも、不思議な縁と思わざるを得ない。
聞くともなしに昨日は帰りに晩飯をともにして、方斎さんの
生い立ちを聞いた。
聞けば聞くほど、知れば知るほど私とは対照的な生い立ちで
ある。
道東の山村に生まれ育ち、親の職業が変わる度に転居を繰り
返し逃れるように札幌へ北大へと辿り着いた。
そこから開かれた美術の世界。
他方私はといえば、札幌のど真ん中で生まれ育ち、W大へ
東京へ行き父の死と同時に帰郷し札幌オリンピックの経済
租界の渦中にいてやがてその渦から脱出して西の円山へと
移転する。
生まれた場所からの脱出に距離も地域も私とは大きな相違は
あるが、この辺の生き方の意志選択が意外と共通してあるの
かも知れない。
生まれた場所は違っても、その場所への決別・覚悟・志の展
開といった共通性である。
何はともあれ、方斎さんの滅多に聞けない生い立ち秘話の数
々を毎日聞かされて一日が過ぎる。
自身の美術活動の肥やしともなった数々のコレクシヨンの展示
に囲まれ、方斎さんにとってこの1週間は多分滅多に無い心和
む時だったと思われる。
その心の和みが繰り返し語られる昔話の中に含まれていて、それ
もまた彼の人生上の大いなる肥やしのように思える。
今夕このコレクシヨン展の作品は撤去し、「自由群」の新作を
展示する。
来週からは新たな佐佐木方斎展が始まるのである。
こんな時間は、そうそうあるものではない。
しばらくはふたりの晩秋男の道行きが続くのだ。
*佐佐木方斎展「自由群新作展」-10月15日(火)-27日(日)
am11時ーpm7時:月曜定休。
テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向き
tel/fax011-737-5503