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テンポラリー通信

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2013年 10月 12日

札幌租界ー楡の翳・神無月(11)

またひとり国際芸術祭の応援スタッフが挨拶回りを兼ねて来る。
頭の良さそうな若い人が多い。
こうしてどんどん優秀な小文化デヴェロッパーが増えてくると、
ふっと市街地再開発事業で道路を拡幅しいくつものショッピング
ビル群が建てられた頃の札幌を思い出す。
この時も道外から優秀な人材が街造りプランに加わっていた。
都市改造の札幌租界の様相を呈していたのだ。
今回は国際芸術祭の文化租界のように勝手に感じつつある。

朝からアルコールの匂いがする。
方斎さんは元気だ。
今日も開廊と同時に顔を出し、積んであるビールを飲んで熊の
ように会場を歩き回っている。
暴れたり飲み過ぎてからんだりはせず、静かに徘徊している。
傍に行けば、血気盛んだった頃の話が満載である。
昨日焼肉弁当を差し入れして来てくれた山田航さんも、その話
に笑い転げていた。
1980~90年代のエピソードには事欠かない風雲児である。

明日で佐佐木方斎コレクシヨン展も終わる。
その後は待望の「自由群」の新作と未完の旧作を展示する。
油彩の大作が含まれているらしい。
約40年近く前の3部作シリーズ「格子群」「余剰群」の最初の
作品群が、この「自由群」なのだ。
元々は油彩で描かれた作品群だが、後に版で構成され出版されて
いて、その出版の順番が制作順とは逆だったので、私は「格子群」
を最初の作品と思っていた。
実際は「自由群」ー「余剰群」-「格子群」の順で、この錯覚は
より深いところで私と佐佐木さんの出自の相違とも感じたのだ。
道北の内陸の村から札幌に出て来た佐佐木さんには、最初から
山野という<自由群>があったのだ。
都会の札幌とは珍しい<格子群>の街並みであり、そこへ至るの
は数学を専攻した所為もあるのだろうが、ひとつの目標位相だった
と理解するのである。
私自身は碁盤の目の方形の格子状の街に生まれ育ち、自身の札幌
発見はその街角を捨てて、郊外へと移住してから札幌という土地の
余剰と自由を再発見していたからである。
また同時に幼い頃の記憶としては、格子状の大路では遊ばず仲通の
余剰路に自由な遊び場があった潜在的な経験も作用している。
従って私にはスタートは格子群であり、山村育ちの方斎さんにはス
タートが潜在意識的にも自由群だったようにも思えるのだ。
山村には格子状の街路はきっと無かったに違いないからである。

表現者の心の奥底には出自の場の記憶が大きな影響を与える。
それが文化の根幹にも在る。
場と場が個人の意識の中で渦巻き、新たな創造と発見が齎される。
それが真の国際(くにぎわ)という際立つ個性であり、インターロー
カルな国際性というものであるだろう。
札幌文化租界に陥らない為にも個々の移住者の覚悟と夢が、翻って
私たち自身の札幌が問われてもいる。

*佐佐木方斉展ー1期「コrクシヨン展」-10月13日(日)まで。
 am11時ーpm7時。
 2期「自由群新作展」-15日(火)-27日(日)まで。月曜定休。

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向き
 tel/fax011-737-5503

by kakiten | 2013-10-12 12:46 | Comments(0)


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