かって移住者には移住者のロマンがあった。
例えそれが衣食住の夢であっても、そこには捨てて来た
過去との決別という覚悟があったと思う。
かってアメリカンドリームと言われた夢とはそうした移住
者の夢を象徴する言葉である。
現代の移住者には、そんな覚悟も夢も希薄な感じがする。
もっと簡単な移動のように移住がある。
それはそれで進歩とも思える事実ではあるが、同時に根無
し草のように、さらなる移動が準備されてもいる状況が生
まれる。
移住行動に覚悟とロマンも希薄になって、そこに根を下ろ
す文化の根幹も希薄になる。
グローバル化という国際化と文化の固有性に根ざした国際化
とは、似て非なるものである。
明年開催されるという札幌国際芸術展にある種の危惧感を抱く
のは、インターローカルな国際(くにぎわ)の視座よりも、
グローカルな国際化を目指しているように感じるからである。
世界的に有名な・・という視点が、どこか感じられ、ここに
固有の夢の形が見えてこない。
知る限りの偏見に基づけば、主導する方々にも移住者が多く
この地に根を張っているというよりも、歴史や伝統を気にせず
好きな事が出来る場としてあるような気がするのである。
先日フクシマの小さな温泉町が放射能の影響はほとんど無いに
も関わらず、風評被害もあって客離れに悩み地元の青年たちが
アートで町の活性化の取り組んでいる姿をTVで見た。
空き家となった旅館や空き地、山間の特有の地形を美術家たち
が俯瞰したり仰ぎ見たりとこの地特有の美しさを作品に結晶さ
せようと奮闘していた。
企画する方も外から参加する方も一生懸命にこの地を考え、そ
の為に作品を創っていた。
一日に多くて何百人かの入場者数だったけれど、それでもこの
過疎の町には大きな人数のものだったのだ。
黙って風評被害の犠牲になって自滅してゆくよりも、はるかに
希望と覚悟に満ちた勇気ある行為として、このアートイヴェント
を私は感じていた。
資本も無く有名性も無くほとんど手弁当のようにみんなが協力
して、この地の良さを訴える。
そこに芸術。文化の力を結集する。
これが本当の文化の力ではないのか。
そして主役はこの土地の保つ独自な美しさそのものである。
決して有名でもなんでもなく、山間のインターローカルな固有
の風景が主役なのだ。
外部から来た芸術家にもそれ相応の覚悟が見てとれる。
なんとしてもこの地の良さを発掘し、自らの夢と重ね他者へと
アッピールしたいという覚悟である。
ひょっとしたらこの地で生きている人の命運をも左右する事に
なりかねないという危機感を保った覚悟である。
それに比べて道都意識の濃い大都市札幌で行われる国際芸術祭
とは、インターローカルな国際(くにぎわ)の視座ではなく、
グローカルな有名志向の覚悟の希薄なフェステイバルとなる感
がある。
*佐佐木方斎展ー1期「コレクシヨン展」-10月13日(日)まで。
am11時ーpm7時
2期「自由群新作展」-10月15日ー27日;月曜定休。
テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向き
tel/fax011-737-5503