沖縄の与那覇幹夫さんから留守録がある。
小熊秀雄賞に続き、小野十三郎賞を受賞したという。
北の旭川の賞に続き南の大阪の賞と南北に跨る快挙だ。
授賞式で旭川からわざわざ札幌まで尋ねて来てくれた時
は、まだ春だったかしら。
沖縄といえば、豊平ヨシオさんの青い亀裂の作品を思い出す。
たった一度の訪問だったが、是非見てほしいという言葉に惹か
れて訪ねたのだ。
丘の上のプレハブのようなアトリエには、青い沖縄の海と空の
ような画面に縦に亀裂の入った作品が百点以上壁一面に並んで
いた。
あの時の強烈な印象は、初めて見る沖縄の海と空の色とともに
忘れる事は無い。
美しい南の青い島に深く刻まれた目に見えない亀裂。
それが壁一面に飾られた全ての作品ひとつひとつの亀裂に宿って
いたと思える。
豊平さんが鮮烈な青を感じさせる作家であるならば、与那覇さん
の作品には赤を感じる。
沖縄では昔、色は赤・青・白・黒の4原色だったという。
これは日本の古代にも通じて、青春・朱夏・白秋・玄冬の四季
を表す色とも重なる。
その意味で沖縄という日本のひとつの源流のような場所に、文化
の基底とも思える原色を保ったふたりの表現者が存在する事に
稀なる喜びを感じるのだった。
与那覇さんは今体調を崩している豊平さんに年末前には会いに
行くと話していた。
赤と青のふたりが会って、どんな沖縄が見えるのだろう。
出来ればその席に一緒に立会いたい気がしてしようがない。
そしてその時私はきっと、札幌の緑の亀裂を抱いてふたりの席に
立っているに違いない。
*「一原有徳と佐佐木方斎ー小樽・札幌」展ー10月6日(日)まで。
am11時-pm7時:月曜定休。
*佐佐木方斎展ー1期10月8日(火)-13日(日)コレクシヨン展
2期10月15日(火)-27日(日)新作自由群展
テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向き
tel/fax011-737-5503