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テンポラリー通信

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2013年 09月 27日

秋晴れの日ー逍遥・長月(21)

冷涼な空気に光が溢れている。
久しぶりの青空、秋晴れが広がる。

 秋は喨喨と空に鳴り
 空は水色、鳥が飛び
 魂いななき
 清浄の水こころに流れ
 ・・・・

高村光太郎が「秋の祈」で冒頭に記した詩行である。
そして最終行は

 いのる言葉を知らず
 ただわれは空を仰いでいのる
 空は水色
 秋は喨喨と空に鳴る

この詩をふっと思い出させるような今日の空だ。

 かって札幌は、エルムの都と呼ばれていました。札幌は豊平川水系の
 扇状地に明治以降出来上がった街で、泉端からは泉が湧き出て小川を
 形成し、多くのエルム(春楡)が自生しておりました。かって街中に
 残っていた大木が時にチャチャニレ(年老いたニレ)とも愛称され、
 北一条通りの名物であったこともありました。エルムは高水位の地形
 を好んで自生し、春楡がアイヌ語では、チ・キサ・ニ(我ら・こする・木)
 といわれ、本州の檜(火の木)に対応する生活文化を支えた大切な樹
 であったといいます。

 現在、そのエルムの森は次第に姿を消し、わずかに公共的な敷地にしか
 その姿を見ることが出来なくなりました。その森の面影を今に残す一帯
 が、植物園の森であります。ここは原生林の姿をそのまま囲いめぐらし
 て植物園とした、先人の英知が活かされた場所であります。
 さらにここは、北方の北5条通りを挟み伊藤邸のある広大な往時の面影
 を残す庭へと続き、JRの高架線を越え、札幌市指定文化財の清華亭庭
 のエルムの大木へと繋がります。清華亭はさらに北海道大学の広大な構
 内の森へと続き、この緑の運河ともいうべき森と泉のゾーンは、札幌の
 原風景としてかけがえのない<風景の文化遺産>のゾーンを形成してお
 ります。

          (「緑の運河エルムゾーンを守る会」趣意書から)

何故かこの文面が高村光太郎の「秋の祈」と、ふっと呼応して思い出され
たのである。
秋の水色には、森・泉・空がよく似合う。
エルムの梢にも、秋は喨喨と空に鳴る。

*「一原有徳と佐佐木方斎ー小樽・札幌」展ー10月6日(日)まで。
 am11時ーpm7時;月曜定休。
*佐佐木方斎展ー1期「コレクシヨン展」10月8日(火)-13日(日)
 2期「新作自由群」展10月15日(火)-27日(日)

 テンポラリースペ-ス札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向き
 tel/fax011-737-5503

by kakiten | 2013-09-27 16:41 | Comments(0)


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