今から4年前の今頃の新聞切り抜きを読むと、サッポロを
アートの街にという活字が躍っている。
その前後に駅前通地下芸術広場構想JR札幌ー大通整備計画
が華々しく掲載されている。
これらのキャンペーンは3月12日の地下歩行空間完成日に
最高潮を迎える筈であった。
しかし皮肉な事にこの地下通路オープン日前日に東日本大震
災3・11が起きるのである。
この地下通路をJR駅との連携で新たな駅前通りとして位置
づける新都心産業構造が窺える構想の中心にアートが据えられ
、その背後にはJRの資本的商業的野望の構造が透けて見える。
この地下大規模通路の駅前通を背骨にして枝のようにその周囲
にビル群が連なり、アートも飾られる。
500m美術館にビルの上のプラニス美術館、さらには現代美
術研究所(CAI)という重鎮ギヤラリーやその他の画廊群が
連なって衣・食とともにアートがこの界隈を形成している。
3・11以降もこの基本的な構造の流れは変わらず、来年には
国際芸術祭も予定通り計画されてやはりこの地下通路を主たる
場としてプレの企画が次々と為されている。
しかしながらこのところのJRの90を越える点検ミスの発覚
や事故の多発状況が全国区のニュースになるなどして、本来の
輸送事業の本質が問われる事態が生じている。
私鉄の少ない北海道で、旧国鉄のJR一社寡占状況の驕りが
ここへきて出ていると思わざるを得ない。
さらには道都意識に象徴される地方軽視の札幌一極集中の悪しき
中央化である。
札幌駅前だけをいくらアートで飾りたてても、それは本来の札幌
自体も見えなくし、ただの道庁所在地の北海道版霞ヶ関になるだ
けなのだ。
駅とはもっと鉄路の交叉も含めてそれだけで美しいものだった筈
である。
機能性の保つ美、それ自体が駅・鉄路・列車の姿にあった筈であ
る。
何かが本末転倒して狂っている。
*「一原有徳と佐佐木方斎ー小樽・札幌」展ー9月27日(金)-
10月「6日(日)am11時ーpm7時:月曜定休。
テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向き
tel/fax011-737-5503