色んな事態が同時進行で、身内も身外も揺れている。
姿勢を低く構え腰を据えて、闘ってゆく。
身内とはこの場の維持に関わる事。
身外とはエルムゾーンの動きと展望。
肉体的な事も含めて、ここが正念場だ。
佐佐木方斎さんの個展案内DMが届く。
来月8日から方斎コレクシヨン展、同15日から新作の「自由群」
を展示の予定である。
コレクシヨン展とは、彼の手元に集まっている色々な作家の作品
で、いわば彼の創造の土壌ともなった他の作家の作品たちである。
1984年9月に創刊された「美術ノート」は、当時の文化最前線
を網羅し、佐佐木個人編集60頁以上の充実した内容で隔月刊行
1986年8月まで10冊発刊されている。
今日のグループ展の原型ともなった現代作家展の座談会に
始まり、TODAYのメンバーによるサッポロトリエンナーレ
1984の展評などが創刊号を飾っている。
さらに優れた映像のパイオニア銀河画報社の10年を今は亡き
湊谷夢吉と映画監督の山田勇男に名キューレターの正木基が
鼎談をしている5号、さらには来月から再び近代美術館で再
展示される夭折の画家深井克美を特集した7号、そして野外展
の先駆け豊平河畔野外展、群馬しぶかわ野外展を特集した8号
、海外の美術状況のレポートに今は無き駅裏8号倉庫の特集など
が充実している。
これらのジャンルを横断した活動が、今度のコレクシヨン展の内容
の磁場ともなったのだろう。
今開催されている「札幌の芸術文化史を知ろう!」の公開トーク
全10回の大半のテーマがこの「美術ノート」には包含されて
いて、このひとりの先駆的疾走者の功績に触れている人は誰も
いないようである。
「美術ノート」全巻の個人編集の力技と同時に現代作家展の今
では主流となっている韓国・九州等の道外作家の招請展の企画
さらには自らの作家活動の精力的な展開と、正に佐佐木方斎は
’80年代を風のように駆け抜けた時代の象徴でもある存在な
のだ。
その佐佐木方斎が、30年近い歳月を経て代表作「自由群」の
新たな新作作品を発表する。
この3部作の最初に位置するという「自由群」は、後の「余剰群」
「格子群」へと続く彼の原点ともなる作品である。
その主題に再度再挑戦する心意気たるものを、とても嬉しく思う
のだ。
駅前地上・地下ゾーンを主体とする昨今の文化状況に対峙し、
エルムゾーンの新たな展開の予感とともに佐佐木方斎の復活
もまた、深くこの地に根を下ろすものとなると確信している。
+収蔵品展「記憶と現在」-9月15日まで。
am11時-pm7時:月曜定休。
テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向き
tel/fax011-737-5503