2013年 09月 13日
咋朝体重く、少し遅れて出勤した。 すると留守録に少し待ったけどもう帰るとのメッセージ。 久野さんからで、春個展をしてくれたスペインの写真家 ヴィッキーさんが来ていたという。 急な来札だったが、帰る前に会いたかったという。 春の在札中、大通りイサム・ノグチのブラック・スライド・ マントラからエルムゾーンを歩き、すっかり札幌が好きに なったと言ってくれた人である。 前もって来訪を知らせてくれれば、遅れて来る事もなかった と残念だった。 そして同じ日の夕方このエルムゾーンの札幌市の調査報告が 出たとの一報が届いたのだ。 熊と鮭に続きスペインの姫も尋ねて来た。 その原点にこの緑の運河エルムゾーンが在る。 そのゾーンの荒廃のキーとなる伊藤邸の調査結果がこの日 でたのも不思議な因縁である。 調査報告は、概ね非常にこの地の優れた緑地拠点の価値を 最大限に認めて、「みどりの回廊」として保存されるべき と報告されている。 早速守る会のメンバーが夜集まり、これまでの署名活動の 確認とともに市議会への陳情書の作成に入った。 2010年伊藤邸高層ビル化のニュースを受けて反対の声 を上げ署名運動を開始して、もう3年の歳月が流れている。 この間多くの人たちをこのゾーンを案内し、その貴重さを 実際に肌で感じてもらった。 スペインのヴィッキーさんもまたその一人である。 彼女はレジデンス事業の招待でもう何年か前に札幌を訪れ、 今回は何度目かの訪問だったが、このゾーンを歩く事で初 めて本当にお世辞ではなく、札幌という土地が好きになった と発言してくれたのだ。 国際化を言うことは、この際(キワ)を知る事である。 <まじわる・あいだ>を<際>というのだ。 境い目の見えないグローバリズムは、文化の国際性では ない。 インフラの整った施設も”おもてなし”としては大事だが それだけが際(キワ)立って主となるものではない。 自国スペインのスペイン革命の時代を調べその遠い歴史を 写真で表現しているヴィッキーさんには、この国際という <際(キワ)>が理解されているのである。 自国とは違う界(さかい)こそが、他国の魅力であり新鮮 な感動だったからだと私は思う。 同様に私にはジョージ・オウエルの「カタロニア賛歌」等 で知識で知っていたスペイン革命戦争の他国が、ヴィッキ ーさんの著書写真集を通して、もっと別な角度から新鮮な 発見をもたらしてくれたと感じるのである。 彼女自身自国の事とはいえ、遠い歴史の時間の際(キワ)を、 経験しつつこの作品集を創っている。 夕方久野さんと連絡が取れ、ヴィッキーさんはお昼の飛行機 で札幌を発ったという。 伝言があり、この写真集を何冊かテンポラリー用において 欲しいと預かっているという。 そして近い将来また必ず訪ねて来ると感じたという。 この伝言は緑の運河エルムゾーンを歩く事で開かれた友情の 回廊のように感じて、嬉しかった。 これは若い世代の山田航さんが <自然保護ではない。地方の芸術文化を支えてきた人間と しての、文化の保護だ。地域の現状をしっかりと見据え 、「ここは一体どういう場所なのか」を考え抜かないと、 地方で創作をやる意味なんてない。エルムゾーンはそれ 自体が一つの芸術作品、文化遺産だ。> (「文学界」9月号) と書いてくれたように、世代も国も超えてこの美しい緑の際 (キワ)が、開かれた界(さかい)を生んでいる。 その事がなによりも嬉しいのだ。 *収蔵品展「記憶と現在」-9月15日(日)まで。 am11時ーpm7時:月曜定休。 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向き tel/fax011-737-5503
by kakiten
| 2013-09-13 13:18
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