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テンポラリー通信

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2013年 08月 28日

岡崎文吉の治水工法ー梢心・葉月(17)

治水の事を知りたいとY君が言っていたので、ふっと古いヴィデオ
録画したのを思い出した。
STV40周年記念番組で、明治時代に石狩川の治水で自然と人が
共生する「自然主義工法」を提唱した水利学者・岡崎文吉の生涯と
業績を辿った番組である。
1999年頃にヴィデオで録画したので、それ以来見ていなかった
ので劣化を心配したが、映像は鮮明で問題ない。
ちょうど前日NHKの番組で宮崎駿の「風立ちぬ」の制作ドキュメン
タリーを見た後だったので、その時代の共通性と主題に驚いた。
「風立ちぬ」の飛行機製造の夢と川の治水の夢とはジャンルこそ違え
、その夢を原動力とする行為の質において相通じるものがある。
岡崎文吉は北大で工学を修め、石狩川の大洪水を機に治水に打ち込む。
川の流れを変えず、自然の蛇行を生かしながら独自のコンクリートブロ
ックを敷く工法を考え出す。
その工法は今も石狩川に遺され立派に役割を果たしている。
当時この独自の工法はあまり認められなかったのだが、その理論は遠く
アメリカ・ミシシッピ川で採用され今でもこの工法を採用していること
が後に分かるのだ。
関東大震災や日中・日米戦争の時代を背景に、ひとりの純粋な科学者が
自らの夢を現実と闘いながら成し遂げてゆく姿が「風立ちぬ」の主人公
と重なるところがある。
明治から大正、昭和を生きた近代の夢・ロマンの真摯でひたむきな姿が
心を打つのである。
特に岡崎文吉の通った当時のまま残る北大の四季の映像が美しい。
そして川岸で自然と一体化して遺されている自然工法の護岸もまた
美しいのだ。
そしてアメリカの学会で発表された彼の理論がその後実際に実践され、
本人も知らぬまま死んだ後もアメリカでその工法で今も護岸工事続けら
れそれとともに記録された彼の名前が流れる映像が心を打つのである。
この番組は1999年制作のものだが、3・11以降の今の世界に少し
も古さを感じさせない。
むしろ今だからこそ、この明治大正そして昭和初期のロマンの質を今に
問うものがある。
その重要な舞台として札幌や北海道の大地が在ったことを、あらためて
深く感受するのだ。
緑の運河エルムゾーンの広がる北大構内の巨木のシーンが、春から冬
へと変わって岡崎文吉の一生を追う番組は終わる。

風立ちぬ・・・、樹立ちぬ、
川立ちぬ・・・。

*収蔵品展「記憶と現在」ー9月15日(日)まで。am11時ーpm7時
 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向き
 tel/fax011-737-5503

by kakiten | 2013-08-28 15:30 | Comments(0)


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