今夕杉山留美子さんのお別れ会がある。
晩年はあまり会うこともなく、最後の個展の印象が強い。
3・11以降物凄く悩んで作品をすべて描き変えたと話していた。
その真摯で一途ななにかが画面に深く沈んでいたような気がする。
素晴らしい最後の個展だった。
作品の色彩は青や緑の暗い印象が多いけれど、本人自身は本当は
深紅の赤の人だったと私は思う。
何時だったか、南西の山の方にみんなで行った時真っ赤に実った
ナナカマドの実が枝ごと道の向こうに落ちていた事がある。
それを見て杉山さんが走ってその実を採りに行った。
その時のセーターは真っ赤な色で、ナナカマドの実と枝を持って
こちらに戻って来た時に撮った写真が今も残っている。
走っているので輪郭はぶれて、ナナカマドの赤と杉山さんのセーター
の赤が、滲んで一体化して写っていた。
あの時たわわに実った赤い実を求めに走った杉山さんの心象が、服の
赤とナナカマドの赤とシンクロして今も思い出すのである
真は、深紅に燃える赤ぼ人だったと今も思う。
いろんなご苦労があって、その真っ赤に燃える部分は滅多に見せなか
ったと思うけれど、心の深いところで深紅に燃える赤の人だったと
私は思う。
この写真は引き伸ばして本人にも差し上げたが、ぼけてるじゃないと
笑っていた記憶しか残っていない。
岩手県土澤から便りが届く。
吉増剛造さんから、399葉目のカラーコピーが入っている。
花巻市萬鉄五郎美術館での小樽に続く瀧口修造展出席の旅と思われる。
自身の個展の11月、師走、1月へ向けての想いが別紙に綴られていた。
貴意により、惑星たち、枝別れの梢たちの生成が十一月or師走
or次の一月にむけて、川たちも流れはじめることとなり・・・・
(選ばれて、輝く火星or木星となり・・・)
そうか、輝く火星か・・・。
杉山留美子さんは赤い星となって沈み、吉増さんは今風立つ星雲である。
岩手から届いた手紙とお別れの日が同じ日なのも、不思議な縁だなあ。
*収蔵品展ー8月11日(日)まで。am11時ーpm7時:月曜定休。
テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向き
tel/fax011-737-5503