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テンポラリー通信

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2013年 07月 23日

エルムゾーンと札幌駅前ー道程・文月(17)

スペインの写真家ヴィッキーさんを案内した5月以来久しぶり
に緑の運河エルムゾーンを歩く。
今回はご一緒したKさんの都合もあって大通り公園イサムノグチ
のブラックマントラから植物園ー伊藤邸ー偕楽園緑地跡ー清華亭
までだった。
5月に比べ何といっても緑が深い。
植物園と伊藤邸の間、北5条通りの上空を梢が手を繋ぐかのよう
に大樹が繁っている。
伊藤邸の高層ビル化計画を調査している札幌市の調査期限も7月
で終わるはずだが、その結果はどうなるのだろうか。
伊藤緑地としてこの貴重な空間が保全される事を心から祈るものだ。
90mか60mのビル高層制限ですむ問題ではない。
このゾーンに自生する植生も昆虫も地形も湧く泉も、もう二度と戻
らない札幌の原風景・財産である。
伊藤邸を横切り、JR高架線下をくぐって偕楽園跡地へ入る。
そこで水の神さま井頭竜神の祠を見て、清華亭に進む。
そこで庭奥の春楡・エルムの大木の下へ行く。
ここも梢が繁りさらに一層樹が大きく見える。
巨樹を見上げて、Kさんが大きくため息をつく。
こんなに大きいのに、根が見えないという。
水脈に近いところに立つエルムは、この少し小高い丘の位置で
より深く地に根を張って立っているから、根は地表には顕れていな
いのだろう。
深山に立つ桂の樹の場合は、根が老人の手の甲の血管のように太く
浮きあがって地表に出ている。

この日はここまでで札幌駅へと引き返した。

駅前南口から地下歩行空間を通りながら、先日送られて来た資料を
思い出していた。
「The Art and JRTOWER」である。
あまり知らなかったが、この駅前空間には52点のアート作品が配
置されているという。
さらにアートボックスという縦1・3m、横2・3m、奥行き60cm
の壁面スペースが常備されて公募入選作品を展示している。
そして東側エスタビル内にはプラニスホールが展示会場として「織姫
たちのスーイツ・アート」展などを毎年企画し展示している。
この駅ビルから大規模地下歩行空間に繋がって様々なパブリックアー
トの展示が広がっている。
札幌駅前通まちづくり株式会社が主催して、パブリックアートリサー
チセンター通称PARCとして、多くのアーテイストがワークショッ
プや展示を試みている。
さらにこの地下歩行空間の東ゾーンには500m美術館が常設され
ここでも多くのアーティストが陳列している。
札幌駅前から地下歩行空間は、明年予定されている札幌国際芸術展
もあってアート満開の様相を呈している。
人は易きに流れるものである。
多くの美術家がこのビルと地下歩行空間主体の都心空間に参集して、
場末の私の方などには益々人が来なくなってきた。
郊外で豪邸でもない小さな民家を抜いた吹き抜けの光溢れる画廊に、
私は私なりの誇りと愛着を保っているが、今年は使用者が激減して真
に厳しいものがある。
JRもアートにうつつを抜かすよりも、本来の輸送事業にもう少し集
中してはどうかと思う。
伊藤邸高層ビル化の動きも、この鉄道事業新幹線の誘致と不可分のもの
とも考えられ、物流のインフラ事業増殖はそれはそれととして、本来の
文化・芸術の根幹は、もっと別次元に在る事を忘れてはいないだろうか。
札幌駅から僅か数百mのところに広がる「緑の運河エルムゾーン」を守
らずして、如何なる札幌が在るのか。
物流の消費基地だけが札幌ではない。
アートとは何か?
限りなく目の臭い消しのような、都市空間に備えられ配置された美の
インフラなのか。

エルムゾーンを歩き、駅前歩行空間を歩いて、なんとも悔しい思いが
沸き起こっていた。
PARC(パブリックアート リサーチ センター)の第一回テーマ
は、<BIOTOPE>で、

<生物の生息空間を示す言葉で生態系や生物空間、生物がすみやすいよう
 環境を改変することを意味します。>

それならなおさら地下歩行空間ではなく、目の前の緑の運河エルムゾーンが
主題でしょう!!。

 <今回は環境の見立てとして人工芝のうえに作家たちの作品をランダムに
  展示し、ひとつの世界をつむぎだします。>ー。

<人工芝>とは生物ではなく、人間に都合良い改変でしょう。
言わずもがなの、これが本音の見立てのアート文化である。
腹立つなあ・・・、



*常設収蔵品展ー7月25日(木)-8月11日(日)am11時ーpm7時
 月曜定休。
 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向き
 tel/fax011-737-5503
*”ZO”展ー7月24日(水)まで。am12時ーpm8時:月曜定休。
 Caballero札幌市中央区南1場西1丁目2番地大沢ビル4F
 tel09076401351

by kakiten | 2013-07-23 13:47 | Comments(0)


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