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テンポラリー通信

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2013年 07月 20日

張確(ハリウス)-道程・文月(15)

織りの作家加藤裕子さんのアトリエは張確にある。
この張確という地名はアイヌ語からきている。
これでハリウスと読む。
原義は、ハル・ウス(食料・群生する)の意である。
かって二風谷の萱野茂さんを訪ねた時、新しい家を建てた
ばかりで喜んで小さな儀式の話をしてくれた。
新築の家に食料を天に向かって投げ上げ、<ハル・ラン、ラン>
と言って祈るのだという。
ハルは食料でランは降る。
食べ物が不自由しませんように、というお祈りだそうだ。
その<ハル:食料>が<ウス:群生する>処として張確が
ある。
この近くの山には、同じようにハルという名がついた春香山
という山がある。
夏も冬も素晴らしい山系が連なる山で、確かに多くの山菜・
キノコが群生している処だ。
自然に添って生きた先住民アイヌの人たちが遺した地名には、
その場所が保つ活き活きとした地形や特色が表現されている。

この春香山の麓で今年2回目のアートイヴェントが企画され
ている。
その名も「ハルカヤマ藝術要塞2013」。
総勢70名程の大展示である。
前回よりも増えているようだ。
その参加者のひとりが昨日見える。
以前から思っていたので、遠慮なく疑問を問うた。
「藝術要塞・・ってなにか不自然に思いませんか」
その応えは、そんな言葉の問題など誰も考えて参加していない
よ、だった。
個々がしたい事を自然の中でやるだけ、因みに自分は作品が
風化し汚れボロボロになる過程を見せるのだ、と言う。
70人が自然の中で、したいことをする。
それはそれで、イイネとしか言いようが無いのだが、20世紀
少年の秘密基地でもあるかのように見えて、もう少し大人の視点
で二度目ともなれば、理念が存在しても良いのではないだろうか。
折角優れて先住者が付けた美しい地名の遺されたゾーンである。
しかも後志と石狩の国境に位置する非常にデリケートな場所でも
ある。
現代のハル・ウスは、コンビニやスーパーが代替して供給地が
物流のネット内に位置してある。
しかし本当は、この地名のように場と深く関わって食料(ハル)は
在るのだ。
この家にたくさん食べ物が集まりますように・・と祈る言葉:ハル
ラン、ランに、日本語の原型のような美しい響きを聞いていた私に
は言葉などどうでもよくて、好きな事を自然の中で発散するだけと
もとれる父っちゃん坊や的藝術要塞には、今ひとつ心からの応援を
感じる事ができないのだった。

昨日記した加藤裕子さんのように、たったひとりでコンビニ幟を織
り直し、素材そのものを再生するラデイカルな仕事の方が余程本質
的な行為・芸術家の志事と思えるのである。
タイトルの言葉だって、大事な作品の一部・理念ではないのか。

 コンビニ幟に 愛は残っているか

ハルカヤマ藝術要塞2013ー山を遊ぶ、アートで遊ぶ。

70名近くの少年少女よ、
ハル(食料)は足りて、遊びでウス(群生する)という事ですか。

  ハルウスに 食料は残っているか
  ハル、ランラン!

*「記憶と現在ー小樽・札幌」展ー7月21日(日)まで。
 am11時ーpm7時。
 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向き
 tel/fax011-737-5503
*”ZO”展ー7月24日(水)まで。
 am12時ーpm8時:月曜定休。
 Caballero札幌市中央区南1条西1丁目2番地大沢ビル4F
 09076401305

by kakiten | 2013-07-20 13:33 | Comments(0)


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