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テンポラリー通信

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2013年 07月 11日

夏風邪ー道程・文月(9)

湿度も気温も急に上がって、疲れが出たのか、体力が落ちた
のかくしゃみが止まらない。
夏風邪の前期症状・・・。

友人知人の何人かが”ZO”展に行ったようだ。
概ね好評のようでヨン様ならぬマサ様もご機嫌である。
西脇順三郎ー瀧口修造ー吉増剛造というシュールリアリズ
ムの本流に掉さして河田雅文さんの今回の”ZO”展もある。
日本の西洋経験が下駄から靴へと輸入され根付くように、モダ
ニズムの思想もまた根付いている。
西洋思想の焼き直しや模倣ではなく、日本的な風土との格闘
を経て真にシュールレアリズムが超現実足り得るか。
それを河田さんの個的フイルターを透して定着が図られている。
少し大きめの犬橇にあの大草稿の塊りがふたつの束にして無造作
に置かれているのもその象徴と思う。
床には石狩ウエン浜で採取した瑪瑙が散乱しているのもそう
である。
他にもさり気無くこの札幌・石狩の自然がシュールレアリズムの
資料と共に会場を象嵌されている。
積まれたファイルの中には、10年以上前共に歩いたパラト街道
の資料も入っていて、それらが雪舟の山水画にコラージュされて
いた。
この山水画の構図を骨格にして、篠路の銀杏の大樹や西南部奥
の奥三角山に在った戸谷成雄の木彫作品「雷神」などがコラー
ジュされている。
これもこの地で河田さんが経験した風景のひとこまである。
つまりは橇(そり)も瑪瑙もこの地の自然風景の象徴であり、
パラト・元村街道の風景もそれと同じ位相にあるものなのだ。
その地を土壌として彼のシュールレアリズムを懐胎している。
私と雅様の接点とは何か、と問えばこの土壌への目線、風土へ
の視座が接点となる事だろう。
風と土という本来相反するものが、風土として一体化した時
シュールレアリズムもまた風土として風の位相から土へと同化
する。
近代のモダニズムはまだ生きてその増殖をこの地に根付く綿毛
のような乱舞を終えてはいない。

*「記憶と現在ー小樽・札幌」展ー7月21日(日)まで。
 am11時ーpm7時:月曜定休。
 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向き
 tel/fax011-737-5503
*”ZO”展ー7月24日(水)まで。
 am12時ーpm8時:月曜定休。
 Caballero札幌市中央区南1条西1丁目2番地大沢ビル4F
 tel09076401305

by kakiten | 2013-07-11 14:33 | Comments(0)


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