なにか疲れが取れない。
画廊に着いて珈琲を沸かす間、ごろりと椅子に横に
なると、もうしばらく寝てしまった。
疲れの理由は分かっている。
画廊の壁の蔦が深く茂ってきた。
緑の藻のように家全体を覆っている。
7月1日は瀧口修造の命日だった。
不思議だなあ、ちょうどその日を挟んで今展示中の
「記憶と現在ー小樽・札幌」展がある。
最初から命日を意識した訳ではない。
6月小樽美術館・文学館の瀧口展に触発されて私なりの
瀧口修造展を企画し、同行した河田雅文氏も彼の滝口
体験を自ら形に出したいと触発され自らの「ZO」展を
企画した。
そしてその連鎖が吉増剛造さんの心を動かし、40年前の
書肆山田発行の書き下ろし叢書「草子1 瀧口修造」の
出現となって顕われ、同時に小樽で展示したあの吉増さん
の大草稿の移動という流れを生んだのである。
その切り替え地点の日が、7月1日の瀧口修造の命日だっ
たというのは、全く最近気付いた偶然である。
さらに1991年横浜の大野一雄公演でたった一度出会い、
中川幸夫さんから送られた図録「献花 オリーブ」が瀧口
修造への追悼オマージュとして企画された展覧会の図録だ
った事も、今回はっきりとして立ち上がった偶然である。
見えない回路に導かれるように偶然が重なって、ある日
それは繁る蔦のように立ち上がる。
偶然は重なるけれど、今回の展示は私には必然のように
思えて、ただ黙々と来し方を見詰めている。
*「記憶と現在ー小樽・札幌」展ー7月21日(日)まで。
am11時ーpm7時:月曜定休。
テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向き
tel/fax011-737-5503