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2013年 07月 03日

ラジオの魅力ー道程・文月(2)

今年5月31日午前10時から1時間生放送で流された
山田航さんのNHK対談の録音を数人の友人と聞いた。
お相手は作家の高橋源一郎氏でNHKラジオ第一の
「すっぴん!インタビユー」という番組である。
放送時随分と色んな人が聞いていて、色んな処から
その感想が伝わってきたのだ。
私はこの日初めて山田さんがNHKから頂いた録音で
それを聞く事ができた。
山田さんの第一歌集「さよなら バグチルドレン」の
現代歌人協会賞受賞がきっかけで実現した生インタビ
ユー番組である。
全国生放送でしかも1時間自らの作品について語るとい
う20代の若者にはとてつもない重圧と思える。
しかし高橋源一郎の作品を読み込む力とそこから引き
出された作品一首、一首の深度がうまくかみ合って、
1時間を超える対話が少しも冗漫とならずあっという
間に心地よく時間が過ぎる。
そして何よりも久しぶりにラジオの保つ音声だけの魅力
というものに触れた気がする。
目で読み理解していたつもりの言葉が、作者の声を通し
て別の角度で開かれてくるのである。
「百聞は一見に如かず」とはいうけれど、私がラジオで
感じたものはその逆で、「百見は一聞に如かず」の感が
ある。
声に籠められた想いが言葉を彩っている。
これは声という響き・音声の震えが聞き手の想念に自由な
波紋を広げ、イメージの羽根を羽ばたかせるからである。
言葉とは音声なのだ、とあらためて感じたのだ。

なんでも目に見えるように明示化する事に我々は馴れ過ぎ
て生活している。
音声だけのラジオ放送で逆に文字の深部が見え、言霊が見
える。
デジタルな都市の深部にも、きっとそうした見えない言霊
のような景色が潜んでいるに違いない。
小樽と札幌を結ぶ見えない境界にもきっとそうした木霊の
ような風景があるだろう。
週末に小樽文学館の玉川氏が吉増さんの草稿を持参してく
ださると連絡がある。
あの大草稿が木霊のように小樽からやってくるのだ。



*「記憶と現在ー小樽・札幌」展ー7月21日(日)まで。
 am11時ーpm7時:月曜定休。
 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向き
 tel/fax011-737-5503
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by kakiten | 2013-07-03 14:40 | Comments(0)


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