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テンポラリー通信

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2013年 06月 19日

風落ちてー光・水無月(14)

亡妻の7回忌も過ぎ恥ずかしながら何の供養もできず、
時が過ぎる。
人の心の機微にも無知なまま、傍若無人な自分の生き
様を今更ながら振り返るのである。
死んだ女房も亡くなられた杉山留美子さんも思えば聖母の
ような赦しの心を保った人たちだった。
と、そのように思う自分が非常に自分勝手なエゴイスト
なのかも知れないと思う。
なにもかも彼女達は本当は見抜いて、ただ黙って見つめて
いただけでその寛容さに甘ったれていただけなのが本当の
自分だ。
同病相哀れむ気持ちが働いたのか、東京の山田勇男氏に
電話する。
折り良く在宅して杉山さんの死を伝える。
病状は聞いていたようだが、逝去は知らず驚く。
そして昔話となり、よく深夜酔って行ったなあと話す。
私はネクタイを鉢巻にして踊っていたと言う。
微かに思い出す記憶があった。
同病どころか恥の藪蛇である。

命燃える若葉・青葉の季節に、垂直に死者の眼差しが透き通る。
今郭公の澄んだ鳴き声はもう聞こえないけれど、見えないカッ
コウの声が生と死の界(さかい)に木霊している。

瀧口修造を悼む中川幸夫の「オリーブ」展の図録を、会場の
片隅に瀧口の著作と一緒にそっと置いて、「記憶と現在」展の
垂心の錘(おもり)とした。
中川幸夫の「献花」の文字が目に沁みる。
展示の一原有徳氏も中川幸夫も瀧口修造もみなもう故人である。
佐佐木方斎さんは手術後「自由群」の完成に命を燃やす。
俺と同じように気儘に生きてきた方斎よ、
せめても最後に浄化するような命の炎を燃やして良い作品を創れ。
偶然なのか必然なのか、この場の7年前の夏最初の展示は佐佐木
方斎の「格子群」、そしてムラギシ訃報の夏だった。

命が純粋に燃える季節。
死者もまた純粋に甦る。

*「記憶と現在」展ー6月30日(日)まで。am11時ーpm7時
 :月曜定休。
 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向き
 tel/fax011-737-5503

by kakiten | 2013-06-19 12:59 | Comments(0)


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