一気に初夏のような陽気で夏日となる。
なにを着れば良いのか躊躇する。
まだ心も服装も冬の残像が支配している・・・。
休廊日前夜自転車漕いで山の中腹にあるA画廊を訪ねる。
瀬川葉子さんの個展を見る。
日常の紙片やプラスチック片を透明な袋に入れて万華鏡の
ようにたくさん展示している。
家事・育児の傍ら、日常の捨て去るものを集めおにぎりの
ように、丸めている。
光に透けて、それらが用を超えて存在している事への愛情で
あろうか、不用という塵芥を作品の素材に転位させ再構成し
不思議な美を創る。
女性ならではの細やかな日常が、ふっと非日常の宙(そら)
へ。
細長い画廊の壁一杯に飾られたそれらの断片群。
さらに何冊もファイルされて予備のように紙切れや糸屑、ビ
ニールの雑片が収納されていた。
もう一度昼の光の中で見てみよう。
翌日A画廊のある山奥に足を伸ばす。
昔八木保次さんを案内したら、興奮して絶賛してくれた事を
想い出し、久しぶりにシラネアオイを見たくなったのだ。
群生している河岸のシラネアオイはすでに独特の透明感の
ある薄紫の色が薄くなっていた。
4,5日遅かったかな。
それでもニリンソウの白い花とともに、高級住宅街の裏の
都市の塵芥に負けず本来のその場所の自然を伝えていた。
できれば、ふっと小さな沢沿いのA画廊にいる瀬川さんにも
見せたいなあ、思っていた。
砂防ダムと土管で矯正され、もう往時の勢いを無くした不動の
滝と祠に祀られた不動明王の傍に迫り立つ小さな崖。
その上は車社会の車道が開発した高級住宅街が連なり、誰も
多分家裏の崖に咲くこれらの花々を意識してはいない。
裏の崖だから塵芥も汚水も零れ落ちてくる。
そこに健気にも本来の植生を今年も花咲かせている。
これは日常の無用の塵を作品の素材にしている作家にも是非
見て欲しいと思ったのだ。
展示している場所に程近い、同じ地形のその場所に咲く花
たちを・・・。
*八木保次・伸子追悼展ー6月2日(日)まで。
am11時ーpm7時:月曜定休。
テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向き
tel/fax011-737-5503