2013年 04月 25日
初日vicky展オープニング。 いろんな人が来た。 懐かしい何年ぶりかの友人の姿もあった。 また、こうした外人の展示の時しか会わない人もいた。 ふたつばかり印象に残った事がある。 ひとつは先日東京でライブパフォーマンスを失意の内に 終え憤っていたFくんの顔である。 眉毛を全部剃っていたのだ。 眉毛の無い顔は不気味であった。 eye an manである。 目だけが光っている。 この時初めて眉毛に表情があることに気づく。 山田航歌集「さよならバグ・チルドレンをめぐる変奏」展で 眼だけのドローイングを描いたFくんの絵画がそのまま本人 の顔となって、眼だけが光っていた。 眉毛を剃ったその危うい行為自体に彼の心の傷の深さを感じ たのだ。 vickyさんに彼の図録を見せ紹介したが、どこか敬遠さ れ距離は遠かった。 やはり作品よりも顔に敬遠されたようである。 もうひとつは、札幌の国際展に関わる仕事をしているAさん である。 久しぶりに来たKくんと会い、かって一緒に札幌を歩き回っ ていた頃の奥三角山下の故八木保次さん宅に寄った時の写真 をたまたま出して懐旧談に話が弾んだ。 Kくんは、自分の写真を見てまだピチピチしているなあと笑う。 それを傍で見ていたAさんが一緒に写っている八木保次さんを 指差して、この人は誰?と尋ねたのだ。 昨年奥さんの八木伸子さんに続き89歳で亡くなって、もう一 年が経つ札幌に生きた画家である。 顔は知らないとしても、このおしどり夫婦の画業を知らないの には、一瞬カチンと来た。 Aさんは個人的には良い人で何の好悪もないのだが、外国人の 展示にばかり熱心で、札幌で北海道を60年一筋に生きたふたり の画家夫婦の存在すら知らないとは、どういう事だ、と思ったの である。 国際とは、interーnationalでnational とは、自分の生きている足元のlandの事であるだろう。 今の時代それはinter localと言い換えても良い。 まして札幌国際展に関わるのであれば尚のこと、国家ではなく 札幌に拘ってInter localでなければ意味が無い。 そういう立場の仕事に関わる人が、札幌の色彩を生涯描き続けた ふたりの画家夫婦の画業も知らず、外国人の個展だけは顔を出す。 これで本当にInter nationalという国際展が 出来るのか疑問に思うのである。 眉毛を器用に上下させ愛想を振りまく事。 眉毛を落とし不気味でみんなに敬遠される顔。 普通は前者が世間に受け入れられ、後者は遠ざけられる。 しかし私には、今回のふたつの出来事が正反対の位相にあって 真逆に感じられたのである。 今回スペインの写真家Vickyさんの資料に、スペイン内戦 時代を生きた人々の歴史を辿った写真集がある。 200頁を超える人・物・風景の記録である。 スペイン革命の時代に生きた人を発掘した、正にInter localな優れた仕事なのだ。 自らの生きているLandを深く耕さずして真の国際化など 果たせる筈もない。 八木保次さん、伸子さん。 今年もささやかな追悼展を催したく思っています。 あなた方の遺してくれた札幌の光と色の為に・・・。 合掌。 +Vicky Mendiz写真展「すきまーSUKIMA」 -4月27日(土)まで。am11時ーpm7時。 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向き tel/fax011-737-5503
by kakiten
| 2013-04-25 13:06
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Comments(2)
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大久保彩織
at 2013-04-25 17:51
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とてもお久しぶりに伺いました。
札幌に戻ってきたので、今度は時々伺えるかと楽しみにしております。 娘もテンポラリーの空間と梯子にも慣れたものですね。 知らない大人がいっぱいでも自由に空間と人を楽しんでいる 娘の成長を感じました。 また伺います。 寒い日の凛としたテンポラリーも好きですが、 日が高くなってからの昼下がりの 光の中のテンポラリーもとても好きで、 作品の世界と光と音と流れる時間をゆっくりと感じに伺いたいです。 あの夏の日の白樺もそう言えばそんな光の中でした。
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テンポラリー
at 2013-04-26 11:46
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大久保彩織さま>みどりちゃんの会場写真をvickyさん
が沢山撮って芳名帳の傍に並べてありますよ。 1歳の時ぬいぐるみのようなコートの中で眠っていた写真 を思い出すと時の経過を感じますね。 白樺のムラギシ展の時は、まだこの世にいなかったのね、 みどりちゃん・・・。 |
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