嵐が去って、雪融けがさらに進む。
もうエルムトンネルの上を除けば、自転車に乗れそう。
日曜日、月曜日と2日間休んだら、メールが百通近くある。
大半は迷惑メールだった。
そして吉増剛造さんから留守録音がある。
財布落として大変だね、という慰めの言葉と先日送られて来た
本人録音のカセットテープの音声不良な分新たに録音したもの
を再度録音して送るという内容だった。
さらに進行中の大草稿は340枚を通過中とのご報告がある。
そして何度も財布の事を心配してくれ、一緒に探しに行こうか
と冗談で語ってくれる。
この間アメリカ行きがあって、自分も財布ならぬ体力をアメリカに
落として来たと冗談めいて話していた。
一昨年から始ったこの吉増さんとの<石狩河口/坐ル ふたたび>
の道行きは、呼気吸気のように私のような鈍才にも身近に佇む。
その不思議な<なりゆき・みちゆき・さだめ>を思うのである。
今年も年末にすでに予約されているこの大草稿集の完成展まで
吉増剛造の故地として、それは同時に我々の見えざる故地(ホーム
ランド)獲得の行為として、<さだめ>のように保っていかなければ
ならない。
カセツとシャダンの現実により、郷を喪い里を喪いそれ故(ゆえ)、自ら
の立つ地(ランド)を故地(ホームランド)として創造してゆかねばならぬ。
遠い声の便りが休み明けの心に沁みた。
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