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テンポラリー通信

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2013年 03月 28日

それぞれの時ー風の夢(19)

財布は落とす、風呂場で水道管に頭を打つ、と碌な事がない。
そんな時気になっていたウメダマサノリさんの作品の位置と
メタ佐藤さんの写真作品の位置を中嶋幸治さんとも相談して
場所を移動した。
ウメダさんの作品はより外光の射す2階西窓際に置く。
プラステイックのカプセルケースに入った蝋で固めた飛行機
のような造形が光に浮かび活きてきた。
メタ佐藤さんの作品は、少し奥まった白い台の上に置く。
するとこれも暗い画面が明瞭になって浮かぶ。
ウメダマサノリの選んだ一首は、

  旅行鳩絶滅までのものがたり父の書斎に残されてをり

この作家は死の相貌を凝視する傾向がある。
今回選んだ一首にもそれが窺われる。
<絶滅までのものがたり>というイメージであろうと思われる。
そして鳩に擬えた飛行機のプラモデルを蝋で固め、透明なカプ
セル内に収納している。
理科室の標本のように、透明なガラスやバルーン内に臓器のよう
な造形を装置するこの作家は、外光の存在が展示上大きな要素
となる。
光は生であり造形は死をイメージするその対比が、作品の見せ方
の命だと思えるからだ。
彼の作品は、光を取り込む事で作品に命が与えられる。
今回も2階西側の窓際に在る事で、作品に命が宿った気がするのだ。
西方の微妙に変化する陽射しが、作品を柔らかく抱いている。

メタ佐藤さんの選んだ一首は、

   真っ白なことばが波に還ってもこの国道は続いてほしい

荒涼とした草原にマネキンの白い顔が浮かぶ、モノクロームの幻想的
な写真である。
<真っ白なことば>という言葉に、この白い顔のマネキンが対応して
この写真をメタ佐藤さんは選んだのだろう。
過去の追憶が立ち上がりこちらを見ているような、喪った時間の形象
を暗く荒涼とした波打つ草原に白い顔をこちらに向けて立たす事で
一瞬心の凝視を見る者は経験する事となる。
写真ならではのこの仕掛けは、同時にウメダさんの透明なカプセル内
の白い蝋で固めた飛行機にも通じるものがある。
立体と平面の相違こそあれ、このふたつの作品には共通する白い固形
化した記憶の凝縮のようなものがある。
そしてともに光がこの白いイメージを死から救い出して、作品として浮上
させているようだ。

*山田航歌集「さよなら バグ・チルドレンをめぐる変奏」展ー3月31日(日)まで。
 am11時ーpm7時。
:野上裕之(彫刻)・佐々木恒雄(絵画)・中嶋幸治(造形)・藤谷康晴(絵画)・アキタ
 ヒデキ(写真・文)・森本めぐみ(造形)・高臣大介(ガラス)・久野志乃(絵画)・
 吉原洋一(写真)・メタ佐藤(写真)・森美千代(書)・竹本英樹(写真)・及川恒平
 (ソング)藤倉翼(写真)・河田雅文(映像)予定。

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向
 tel/fax011-737-5503 

by kakiten | 2013-03-28 14:03 | Comments(0)


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