作品搬入が遅れていたAくんが来る。
2点組の作品を持って来た。
選んだ一首は
またの名を望郷魚わがてのひらの生命線を今夜ものぼる
生まれ故郷の河と橋の記憶を辿り、写真と文で構成している。
一点が冬の石狩川、もう一点は掌と文章と故郷の橋・山等である。
望郷の念が正に魚となって、2点の作品を繋ぎ大河をのぼってゆく。
この歌に触発された自伝のような作品である。
旭川から札幌に出て来て今、ふっと振り返るように内なる故郷を
思う。もう記憶にある風景は今はないのだという。
いつのまにかそんな故郷の話を聞いていた。
この一首の歌の為に今まで作品を制作していたという。
遅れた理由を小声で語る。
まだ届いてない人もいるよ、と応える。
遠方のNくんはぎりぎり前日届くと連絡があった。
その外にも多忙や事故で遅れている人がいる。
でも出品したいから、断わってはこない。
Aくんと同じようにみんな自分の事として一首を選び作品を創っている。
そしてこんなに自分の事をゆっくりと長く話すAくんは初めてだった。
今日も東京のY氏から作品が届いた。
明日明後日に大半は揃い展示するわけだが、大半といっても一点でも
その場所構成に大きな比重がかかるわけで全部が揃うまで気が抜けな
い展示となる。
*山田航歌集「さよなら バグ・チルドレンをめぐる変奏」展ー3月16日(土)
-31日(日)am11時ーpm7時:月曜定休。
:野上裕之(彫刻)・中嶋幸治(造形)・佐々木恒雄(絵画)・藤谷康晴(絵画)
・森美千代(書)・藤倉翼(写真)・メタ佐藤(写真)・ウメダマサノリ(造形)・
竹本英樹(写真)・アキタヒデキ(写真)・森本めぐみ(絵画)・久野志乃
(絵画)・吉原洋一(写真)+3月23日夕方及川恒平(ソング)。
テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向
tel/fax011-737-5503