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テンポラリー通信

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2013年 03月 03日

終わりの始まりー風の夢・弥生(2)

今田朋美・久藤エリコ展最終日、蛇池雅人のアルトサックス
に長沼タツルのギターのジャズライブにあわせて、書と切り
絵のライブパフォーマンスが1時間余り休みなく行なわれた。
一枚の大きな白い紙に墨書と切り絵が行為されていく。
ふたりの合作である。
初日のミチトの演奏に続くライブパフォーマンスだが、
二度目となって落ち着いて澱みない。
それでも一回目のある種の緊張感とその固さから溢れ出る
情念の揺らぎのようなものは、初回の方が強かったような気
がした。
出来上がった作品の完成度は、2回目の方が落ち着きがある。
別々に行為をそれぞれの紙の上に記した一回目とは違って、
二回目は同じ一枚の大きな紙の上で行為した結果、バランス
が意識されたからと思う。
今回のふたり展は、今後の課題としてやはり個展として
もう一度それぞれが自らのテーマを燃焼させる事と思う。
もうそれだけの内圧は充分備えている、と思うからだ。
今回のふたり展の主題は「ハツゲン」である。
「ハツゲン」とは発言であり、発現であり、発弦であると語られ
ていた。
察するにに<発>する何かの確認が、ふたり展の<×1>で
あったのだろう。
それは充分に潜在的に今回確認されて、あとはそれぞれが絞り
込んだ主題を個として提示すべきと思う。
黒い紙を切り込んで形象を造形する久藤エリコ、
白い紙に筆を走らせ字象を顕す今田朋美。
その対照的な白と黒の表現の在り様は互いの裏表のように
在って<ハツゲン>の相互の確認とも見えたのである。

最終日翌日搬出準備を終えた後ふたりの合作を展示する。
切り絵の切り込みが白い紙に凹み、書の墨蹟の黒い筆痕の
凸と不思議な諧調を奏でている。
並列的であったふたりの<ハツゲン>が、ひとつの<発現>
となって佇んでいる。
ふたりの行為がひとつになった瞬間である。
そしてこの場で自然に決まる。
次回山田航展までの一週間、このまま「ハツゲンⅡ」の展示と
してみんなに見てもらおうという決断である。。
この最終日に完成したふたりの共同作は、充分に鑑賞に堪え
得る作品となったからだ。
正面に3mを超える幅の共同制作の一点が存在感を放っている。

これはふたりの勢いで生まれた延長展である。

*今田朋美×久藤エリコ展「シロアトーハツゲンⅡ」-3月10日(日)
  まで。am11時ーpm7時。
*山田航歌集「さよなら バグ・チルドレンをめぐる変奏」展ー3月16日
 (土)-31日(日)

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向
 tel/fax011-737-5503

by kakiten | 2013-03-03 14:38 | Comments(0)


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