雪の後晴れて、青い空が広がっている。
公園の真中に立つ樹木が美しい。
放射状に枝を広げて、白い翳の梢を伸ばしている。
梢の先端が風に揺れる。
私もこんな姿で世界を見て歩きたい、と思った。
五感を梢の先のように世界と関わりながら光や風に
触れて、身体の外の光景・風景を歩く。
地下電車や直線の舗道の街では喪ってきた感覚なのだ。
坐っても立っていても、歩いていてすら手元の電子盤を
見詰める人が多い中で、一本の樹の梢のアンテナの豊か
さを思う。
冬、白い雪景に裸木の立ち姿は、いつも本質的である。
私にはそう思える。
大枝・小枝・幹だけが、黒々と白い雪の中に立つている。
その有機的な生命の姿に同じものはひとつとしてない。
葉が落ちた冬の裸木の立ち姿は、より本質的な命の姿を
顕すものと感じられるのだ。
冬は寒く冷たく凍りつく季節だが、時にこんな晴れ渡った日
に、ふっと樹木が命の炎の姿を見せてくれる。
大河の川傍近く立つ小さな丘から感受性の梢を広げて、
五感に触れる世界を真に感受するように秋元さなえ展が
ある事を祈るように、今朝の梢の震えから思ってもいた
のである。
*秋元さなえ展「121年前のよろこび」-2月12日(火)-21日(木)
am11時ーpm7時:月曜定休。
*今田朋美・久藤エリコ展「ハツゲン」-2月24日(日)-3月2日(土)
テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向
tel/fax011-737-5503