2013年 01月 04日
昨年暮の新宿・ピットインで、吉増さんの石狩シーツ熱唱と鈴木余位 さんの映像に感動した人が両親と訪ねて来た。 年末も30日の事である。 メールやファックスでその場の熱気は届いていたが、実際にその場に いた人の話が届いたのである。 初めて訪れたその若い人は、新宿での現場の昂揚を言葉少なく熱く語 ってくれたのだ。 私が辛うじて残っていた今回のフライヤーをお礼に差し上げると、満面 の笑みを浮かべて喜んでくれた。 未知の人がこうして訪ねてくれるのも、遠く新宿での星の爆発その隕石 の飛来に拠るものだ。 未知の親子が新宿の熱を伝え帰った後、帰省した詩人文月悠光さんが 来る。 じっくりと詩草稿の大束を広げて眺めている。 先に来ていた山田航さんと楽しそうに話しながら一枚づつめくっている。 その若い歌人と詩人の会話の遣り取りが面白い。 256葉の半分位まで丹念に見て、残りは諦める。 現代詩手帖の依頼で感想を書かなければならないと、文月さんが言う。 W大学の3年生で札幌が実家の彼女は、短い正月休みに貴重な経験を している。 昨年冬の吉増展の折りには、吉増さんと共にエルムゾーンを逍遥し それは詩にも発表している。 その歩行の1ヵ月後にこの草稿の第一章が石狩河口から始ったのだ。 東京と札幌を往還する度に吉増剛造の存在がある。 彼女もまた、今回の作品の周りを周回している若い惑星のひとつである のかもしれない。 年末31日は珍しく定休日の月曜日と重なり、元旦をふくめ連休となる。 今まではなにかと31日も開廊の日が多かったのだ。 どうしても年内に送金でいなければならない義理があって、昼前ATMに 入金に行く。 郵貯銀行は初めてだったが、支店名の印字指示がカタカナで出て口座番 号しか知らない事に気付き慌てる。 郵便局も銀行も大晦日でやっていなくて、中央郵便局まで行くも年賀状の 受付の列でとても聞けるような状況にない。 仕方なく画廊まで歩いて行き振込先の相手に電話する。 支店名を聞きあらためてATMに向かうが、カタカナの支店名指示の表示 にその頭文字が無い。 試みにそのひとつを押すと、なんとこれが数字の表記になる。 郵貯銀行は支店名が数字で指示されることに気づく。 普通は場所名が支店名の先につくのだが、郵貯では数字が支店表示なのだ。 お陰で随分時間と遠くまで移動して無駄をしてしまった。 こういう時はケイタイの持たない私のような人間は苦労する。 相手先の電話も事務所まで行かないと確認できないからだ。 問い合わせも普通の日ならどこかの銀行か郵便局で聞く事も可能だが、 どこも開いていない。 壮大な銀河のような新星の誕生と、細かな金銭上の手続きの苦労と、ミクロ とマクロの交錯した大晦日である。 そして画廊にKさんが、大きな風呂敷包みを持って来てくれる。 玄関で大きな声を出す。 ”小さな親切、大きなお世話!” 、と。 年末恒例ともなった食物の差し入れである。 聖母のような友情と愛情の賜り物である。 お正月はお陰様でもうひとりのK・kさんの御節料理の差入れと野上さんの 尾道土産の佃煮セットと併せて、飢える事無く過ごす事ができたのだ。 *吉増剛造展「ノート君~’古石狩河口から書きはじめて」 :吉増剛造(詩草稿)・吉原洋一(写真)・鈴木余位(8mm映像)。 1月13日(日)まで。am11時ーpm7時;月曜定休。 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向 tel/fax011-737-5503
by kakiten
| 2013-01-04 13:23
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