一昨夜新宿・ピットインの熱い余波が今朝も届いている。
石狩河口と望来の映像を提供した鈴木余位さんからの便り
である。
新しい器官が芽生えるような夜でした。
札幌と新宿が形のレベルを超越して「所」から逃避に成功した
未曾有の「場」が現れました。
あれほどの吉増さんを目撃したのは、僕は初めてでした。
身体全てを床に打ち付け、吉増さんご自身が「トンカチ」に成り代わっ
たかのように、大地を打刻している。なんども、なんども。全身を床に
打ち付けている。
カメラを持ちながら、誰よりも打刻間近にいました。
僕はその打刻によって、ゆれる「場の息」を全身で浴びていました。
そして「石狩シーツ」を詠みはじめた時に、吉増さんの顔、手、くいしば
った唇のリアルタイムプロジェクシヨン。そこでスタッフに合図を送り、
多重写しをするように石狩河口と望来の海のモノクローム映像を放射
しました。
短い時間ではありましたが吉増さんと、札幌で流されているあの石狩
望来のモノクローム映像が重なり合う。
あの至高の時間といったら・・・。
目も耳も手もひとつになった刻でした。
・・・・・
<場>というものは地図では現わす事は決してできないのですね。
まさにテンポラリーです。
その一時を、絶対に逃がしてはならない、その抱擁がコンテンポラリー
のようにさえ感じます。
新宿・ピットインの熱い夜に飛んだ流星のように、余位さんの感動の息吹き
がこちらまで洩れて聞こえるようである。
<場>がワープして新宿ー札幌を往還したかのような、今日・昨日と続く魂
の交信である。
遠くから届く<場>と重なり響くように、こちらでは尾道から帰省した彫刻家
野上裕之さん夫妻が今年4月産まれた朝登くんを抱いて訪ねてきた。
初めて見る朝登くんは、野上さんの創ったリンゴの彫刻とそっくりな赤いほっ
ぺの健康そうな赤ちゃんである。
本人もリンゴの彫刻が気に入ったらしくニコニコと触って遊んでいる。
それを見ている父親野上さんの満足そうな嬉しそうな顔・・・。
そこへ十勝のマルちゃんが池田町名産の長芋を持って来た。
再就職が某有名店に決まったという。
そこに次回展示予定の洞爺のガラス作家高臣大介さんが来る。
野上さんとは久し振りの再会で笑顔である。
そして歌人の山田航さんも来て、来年3月予定の山田短歌を主題とする展示
についてそれぞれの出品作品が話題となった。
見えない念波のような交感もあれば、目に見える友人たちとの交感もある。
女房子供が寝静まってから、コツコツと刻んだ赤色矮星という赤いリンゴの
彫刻。
その作品と実際の赤ちゃんを目の当たりにして、そのなんともいえない近似性
に心がほんわりと暖かくなって、野上さんの新たな星の誕生を思うのである。
これも星の誕生だなあ、余位さん・・・。
マルちゃんの新たな就職を祝しながら、これも彼女の新たな運命の星と思う。
星雲・12月。
銀河流れる大地に、石狩川・・。
*吉増剛造展「ノート君~’古石狩河口から書きはじめて」
:吉増剛造(詩草稿)・吉原洋一(写真)・鈴木余位(8mm映像)
12月11日(火)-1月13日(日)am11時ーpm7時;月曜定休。
正月1,2,3日休廊。
テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向
tel/fax011-737-5503