2012年 12月 27日
今朝、今冬一番の冷え。 水道の水は前日落として帰ったのだが、凍結して水が出ない。 部屋を暖めトイレは電気ストーブを点け、小1時間後ようやく 水が出る。 これからしばらく朝はこんな水の世話の連続だろう。 それに外の雪掻きが加わる。 ほぼ午前中はそんな事に忙殺されて、時が過ぎる。 岩手の文学館から電話が来る。 吉増展の資料を送れという。 来年2月そちらでも吉増展の予定という。 たしか今夜は新宿で鈴木余位さんの映像も交えて、吉増さんと 大友良英、鈴木昭男氏のイヴェントがある。 新宿にも今夜ここから流星が飛ぶ。 あまり今まで触れてこなかったが、今回の展示は吉増さんの大 草稿集を基点にして鈴木余位さんの石狩河口8mm映像と吉原 洋一さんの写真群がある。 吉原さんの写真は2011年年2月22日から2012年2月12日 まで毎月の吉増剛造を撮影した写真である。 彼はその記録を「水の光、歩行 二二乃会」として今回発表して いる。 因みに2月22日は吉増さんの誕生日であり、ここから毎月22日 の吉増剛造を撮影したのである。 東京自宅の佃に始まり、釜石、アメリカ、渋谷、伊香保、札幌と 吉増剛造の歩行とともに彼もまた歩んでいる。 6ッ切りの白黒手焼きの写真は月毎に一冊に綴られて、始まりの 2011年2月と終わりの2012年2月の2巻は吹き抜けから下に X状に交差して展示され、2011年12月の札幌エルムゾーン歩行 の写真は正面壁に展示され他の月は各巻2階廻廊にファイルされ 展示されている。 写真に記録された吉増剛造は時に被災地に佇み、時に笑顔の自然 な姿で様々な場所の歩みを記録している。 吉原さん自身が吉増さんとともに歩いて、この一年間を吉増さんの 眼差しに添って歩いていった事が良く判るのだ。 吉増剛造が今年2月石狩河口から始めた大作詩への歩行。 吉原洋一さんが昨年2月から今年2月まで見詰めた吉増剛造の歩行。 鈴木余位さんが、昨年12月から見詰めたこの会場と石狩河口の映像。 この3者の目の歩行が、奇跡的な交差をして今展示となってここに在る。 三者の歩行がふっと歩み寄るようにして、集っている。 吉増さんを見詰めていた目。 この場所と石狩河口と北の地を見詰めていた目。 ふたたび、17年ぶりに石狩河口に坐ル事から詩を書き始めた目。 それぞれの歩行が旅の途中の峠の茶屋のように、今道中を共にして 休んでいる。 同じ方向を必ずしも見ている訳ではないのだが、ふっと寄り添うように 今ここに佇んでいる。 8mm映像が流れ、写真が並び、草稿の大束が鎮座している。 ただそれだけの展示なのだが、ここに流れている時間は遠い源・地球 の始まりのような始原への眼差しでもあるのだろう。 吉原さんは吉増剛造の肖像を通して、鈴木さんは石狩河口とニ風谷の チセの窓を通して、吉増さんは石狩河口の岸辺に立つ事で、始まりの 原点を見据えようとている。 それぞれの歩行が、何故か2011年から始まり、2012年の12月に 結実してここに集まってきたのだ。 それぞれの流れが合流してひとつの流れともなった不思議な、そして 奇跡的な展覧会である。 ひとつにはこの場所が保つ磁場というヒッグス場(素粒子)のような 力があった事も否めない事実である。 その磁場から、新宿へ岩手へと今回の展示の飛礫はさらに飛翔して 飛んでゆく事になる。 その流星のような飛礫が、今回の優れた印刷技術とデザインによる 大判葉書に描かれた吉増さんの手書き文字画とも、い得ると思うのだ。 *吉増剛造展「ノート君~’古石狩河口から書きはじめて」 :吉増剛造(詩草稿)・吉原洋一(写真)・鈴木余位(8mm映像) 12月11日(火)-1月13日(日)am11時ーpm7時・月曜定休。 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向 tel/fax011-737-5503
by kakiten
| 2012-12-27 13:27
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