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テンポラリー通信

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2012年 12月 12日

波及するー星雲・12月(13)

寒中、熱波のように伝わったのだろうか・・。
まだ東京の吉増さん本人から嵐のようにfaxが届く。
フライヤーの追加発送名簿、海外の知人友人の名簿、
午後7時の初日お祝い乾杯のfaxである。
150枚程新たなフライヤーの追加で、こりゃあとても足り
ないわ・・・。
年末の多忙な中、手刷りの活版多色刷りの追加は酒井
さんにご苦労掛ける事となるが仕方がない。
嬉しい悲鳴である。

今回の展示の基底となった吉増剛造の新作詩は、今年
2月石狩河口から始った。
「詩の傍で」と題され朝日新聞電子版、現代詩手帖に発表
され一年間続く詩作として書き始められた。
その草稿が今は250葉となり、当初三千行の予定を大幅に
超え現在は五千行を数え、さらなる深化を続けている。
会場の真中に置かれているのは、その草稿の原本・大束
ファイルである。
一方吉原洋一氏は昨年2月より毎月22日一年間吉増剛造
を撮り続け、今回の吹き抜けに吊られた帳(とばり)のように
繋がった一巻はその最初の2011年2月22日佃自宅の吉増
さんの写像である。
そしてその一巻と交差するように吊られたもう一巻は、最終月
の今年2月22日の写像である。
それ以外の2011年3月から2012年1月までの吉増さんの
写像はそれぞれ一巻の段帖となって2階に置かれている。
鈴木余位氏は一昨年暮初めてこの場を訪れ、ちょうど展示中
の吉増剛造展「石狩河口/坐る ふたたび」に感動し、それま
で封印していた8mm映像を解き撮影した。
その後2月に再びこの地を訪れこの時初めて石狩河口に赴き
同じく8mm映像で真冬の撮影行を敢行したのだ。
彼の職場での師でもある映像作家石田尚志さんの関係から
吉増剛造氏との接点はあったにせよ、石狩行は全く単独の
鈴木余位氏の個人的行為であった。
今回の展示は、こうした個々の営為が吉増さんの大草稿束
を軸にして渦巻きのように磁場を生んでいる。
そしてこの空間は時と共に澄んで静謐な渦の中心そのもの
となる気配が生まれている気がする。

14日以降の吉増本人の来廊、そして新作GOZO CINE上映
さらに書き続けられている新たな草稿260葉分の追加と、嵐は
しばらく続くだろうが、それ以外の多くの時は余位さんの録音し
た石狩河口と海の風と波の音だけが響く、今朝の白い雪の光
が支配するような、静謐な渦の中心が澄んで在るに違いない。

*吉増剛造展「ノート君~’古石狩河口から書きはじめて」
 :吉増剛造(詩草稿・映像)・吉原洋一(写真)・鈴木余位(映像)
 12月11日(火)-1月13日(日)am11時ーpm7時月曜定休。
 正月1,2,3日休廊

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向
 tel/fax011-737-5503

by kakiten | 2012-12-12 12:36 | Comments(0)


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