休廊日の昨日、亡くなった友人のNの家に弔問に行く。
豊平川に近く西の山並みにも近い静かな真駒内の住宅街
に家はあった。
この地に引っ越してからは初めての訪問である。
生きている時に来てくれれば良かったのに・・と従妹の奥さん
K子ちゃんが言う。
言葉もなく仏前に手を合わす。
ふと祭壇脇を見ると蝶の標本が綺麗に整理され飾られている。
死ぬ前この場所で制作したという。
居間に入り故人の話を聞く。
庭に目をやると小さな畑があり、引越し当初石だらけの土地を
故人がこつこつと耕し畑にしていたという。
マメな人だったわ、と色んな思い出を語った後でぽつりと従妹
が言った。
そうだなあ、蝶と畑・・。
彼らしい生活を最後にして去ったのだ、と思った。
急に死んででもその後毎日のように知人が弔問に来るのよ、と
どこか誇らしげにK子ちゃんが言う。
彼との生活の幾多の苦労話もこの時やはりどこか誇らしげに感じた。
従妹のKと友人のNの培った愛の形を、この小さな畑と蝶の標本箱
のある部屋に感じて、私は家を辞した。
それから西北に下り旭ケ丘のM画廊へ向かう。
そこでグループ展の中嶋幸治さんの作品と本館展示の久野志乃展
を見る。
久野さんの作品は空間に溶け込んだ新たな展開を予感させる。
M画廊の空間を意識したのだろうか、森を意識的に取り込んでいる。
下に開いた窓の緑と室内の作品が呼応して、気持ち良い。
中嶋さんの作品はやはりグループ展ではなく、個展で見たい作品
である。
何故北欧の作家数人と一緒に見なくてはならないか、必然性がよく
見えない。
タイトルの「霜月」だけでは、主題とはならない。
休み明け吉増さん、余位さん、吉原さん、今田さんから相次い
で連絡がある。
ちょうど活字印刷の酒井さんも来て、案内状の打ち合わせに入る。
吉増展タイトル、私の読み違えで紙ノ象ではなく「紙ノ家」と知る。
正式には「紙ノ家」草稿展ー石狩河口から綴りはじめてーとなる。
余位さん、吉原さん、吉増さんとそれぞれ展示に向けエンジン全開
である。
今田さんは先日の大野一雄石狩河口公演、界川游行の映像鑑賞
のお礼だった。
友人とふたり映像を見た後の感動が新鮮な響きで語られていた。
ここでも見えない川そして石狩河口が時空を超えて押し寄せてくる。
*収蔵品展ー11月25日(日)まで。am11時ーpm7時:月曜定休。
*吉増剛造展「紙ノ家」草稿展ー12月11日(火)-1月13日(日)
テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向
tel/fax011-737-5503