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テンポラリー通信

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2012年 11月 08日

一本歯高足下駄で現るー緋月・11月(7)

来年早々の個展打ち合わせに一本歯高足下駄を履いて
洞爺のガラス作家高臣大介さんが来る。
今年2月の阿部守さんとのふたり展「野傍の泉池」以来で
ある。
あっという間に1年近くが経った。
次回展示の日程を決め、テーマについても話し合う。
千葉から洞爺湖・月浦に移住して10年。
全国を展示販売で飛び回っていた10年でもあるが、来年
からは洞爺の工房から基本的には動かず生活するという。
そして身の回りの森や野の花をテーマに取り入れ、制作を
どうやら考えている様子である。
ワイルドガーデンと自ら名付けている工房の周りの庭や、
裏の神社の森の話を聞いた。
独特の透明な吹きガラスを創る彼の脳裏には、植物の保つ
有機的な色彩・形状が透過する光とともに非常に魅力的な
存在なのだろう。
それも今住んでいる周りの洞爺の植物たちである。
彼の吹く透明なガラスは光を留める。
その光の中に自らの住む周囲の自然を抱きしめる。
燃える男のロックや飛んでる男のショットといったユニークな
命名のグラス類に始ったガラス制作が今、生活している周囲
の自然・植物へと眼が向けられてきた。
千葉から飛来して10年。
風は土へと馴染み、新たな風・土にならんとしている。
一昨年の隈研吾建築設計の依頼でガラスの壁を制作して
以来、なにかが彼の中で変化しつつある。
従来の器主体の制作から、光を留める住宅の壁のようなある
種非実用的な素材そのものの保つ特性を美として創る事に
目覚めたとでもいったら言い過ぎだろうか。
昨年のここでの作品の中にもそうした傾向の作品があった。
メム(泉)と名付けられた小さなグラスや跳ぶ波のような紡錘形
の吊りのオブジェ等である。
かって泉が湧きサクシコトニ川の源泉ともなった場所を主題と
したこの展覧会の、正に湧き水そのものが形象化された作品
だったと思う。
これらも美しい器という従来の容器の概念を超えた作品だった
と思う。
透明である事に彼の創る作品の最大の特色があるとするなら、
その透明さはただただ透き通るだけの透明さではない。
光を留めて転換してゆく、トランス(transー:別の場へ)と
転換する<透き通る:transparent>である。
彼自身に即して言えば、千葉から北の洞爺へ移住して今新た
な自分が生まれようとしている、trans-とも言い換えられるの
だ。
その意味では高臣大介自身の透明な生:transparentの時と
も思える今回の個展である。
来年1月が楽しみだ。

*収蔵品展「岡部昌生初期作品を中心に」-11月11日(日)まで。
 am11時ーpm7時。

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向
 tel/fax011-737-5503

by kakiten | 2012-11-08 16:07 | Comments(0)


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