風はなく、細かい雨が降っている。
紅葉が赤く煙っている。
赤を秘めた黒の世界。
昨日書いた<玄(くろ)の世界>へ向かっているようだ。
先日見えた美術評論のKさんから「クリストとジャンヌ・クロード
による梱包された国会議事堂、ベルリン、1971-1995」の評
論コピーが送られてくる。
クリストご夫妻とも親交のあったkさんならではの、詳細な評論
である。
そしてそのファイルとともに、チョコレートや結び昆布、カロリ
ーメイトなどが添えられていた。
Kさんは時に母のような姉のような存在である。
どこかでこの不肖の自分の恩返しをしなければならない。
東京のY氏から出版されたばかりのブリングル詩集が送られ
てきた。添えられた手紙によるとY氏初めての装丁とある。
作者から直接依頼があり直感で引き受けたという。
それにしてもとても最初とは思えない見事な出来映えである。
年末の吉増剛造展では彼の写真を展示して頂く予定だが、この
装丁の見事さを見れば、展示の方でも多いにその力を発揮して
貰いたいと思った。
心こもった届け物が、ふっと心に沁みる。
今日の雨のように鮮やかに染み入る色彩がある。
黒を秘めた赤、赤を秘めた黒。
今日の雨のように、足もと深く沁み入る垂直なもの。
*収蔵品展「岡部昌生初期作品を中心に」-11月11日(日)まで。
am11時ーpm7時。
テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向
tel/fax011-737-5503