暑かった夏が濃く紅い。
夏の年(sak-pa)の終わり・凝縮。
心も内向きに濃くなって、自閉気味。
慶応大学の出版局から電話が来る。
年末の吉増剛造展に近々出版される吉増さんの詩学講義の
本を会場に置かせて欲しいという依頼だった。
ライフワークともなる大冊のようだ。
「石狩河口/坐ルふたたび」展から始った5千行を超える大作
詩の進行中のファイルとともにこの本が会場に置かれる事は、
今回の個展に賭ける吉増さんの気合を感じるものである。
新作のGOZO CINEも二本上映予定という連絡もある。
映像・詩・銅巻に吉原洋一氏の吉増剛造を一年間追った写真
の展示、鈴木余位さんの映像と本人の滞在も含めてきっと濃い
時間となる事だろう。
まだ1ヵ月半ほど先の話だが、慶応出版局からの電話で個展が
急に現実味を帯びて背中を押す。
なにか夏の疲れが寒さとともに忍び寄っている。
紅は(sakーkes:夏の終・秋)のように濃く凝縮して、時に疲労
の澱みのようだ。
岡部昌生氏の子息岡部亮さんが来る。
見た事のない旧作をじっと見ていく。
父とはまた違う彫刻家の彼は、野上裕之さんのリンゴの彫刻の
ように、3年前の個展の時は3房の実の彫刻を彫ったのだ。
やはり第一子が出来た後の事である。
その後の沈黙が寂しい。
小さくとも制作は絶やすべきではない。
生活と制作の挾間をどんなに細くとも絶やさず続けて欲しい。
*収蔵品展「岡部昌生初期作品を中心に」-11月11日(日)まで。
am11時ーpm7時:月曜定休。
テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向
tel/fax011-737-5503