久し振りに澄んだ青空が広がる。
昨日からバーバリーを羽織って自転車。
寒気が増している。
短い秋が進む。
ここの壁の紅葉はやがて深紅に燃えるだろう。
岡部昌生氏からフロッタージュの葉書が届く。
東京のM氏から心動かす便りが届いていたようだ。
近々こちらに顔を出すという。
もし来るなら、ここに移転して初めての事である。
古い遠くの友人がふたりをじっと見ていてくれる。
夫唱婦随ならぬ、夫唱夫唱のふたりと笑いながら
語ってくれたM氏の両方を良く知る友人の目である。
港千尋氏とともに3年前のヴェネツイアビエンナーレの
日本代表に選ばれ、今や押しも押されぬ美術家の岡部
氏だが、こちらは北の場末の片隅で細々と画廊を営み
何時路傍の人となってもおかしくないような立場である。
それはどちらもが志してそうなった事で、違いに意味は無い。
私は札幌の地の底深く自立を考え、彼は札幌以外の世界に
広く目を向ける。
その方向性が時としてすれ違い、ともに行動しなくなったのだ。
今回砂澤ビッキの作品を音威子府の記念館に展示する事で、
ともに一緒に仕事をしたその当時の記憶がきっと今岡部氏の
脳裏に甦って、何かを確認しつつ訪れる気持になったのだろう。
そこを繋いだのが、東京の古い友人であるM氏の目だ。
M氏は私が今回岡部昌生初期作品を展示した心の動きを
鋭く見抜き、それを多分岡部氏に伝えたのだと思う。
両方の心の動きを素早く見抜き、示唆する。
この洞察力は優れた美術の学芸員でもあるM氏の眼である。
ひょっとしたらこのまま死ぬまで会う事も無い友人と再び会う
事を計らってくれたM氏には感謝しなければならない。
人は不思議だなあ。
遠くに居る人が一番身近に心の動きを読んでいる。
そして今回のビッキに触れてのフロッタージュ作品に繋がるよう
に、その当時図録に一文を寄せてくれた吉増剛造さんから年末
の個展予定の便りが再び届いた。
今朝で原稿224葉でやがて250葉を超える作品を11月中に
送るとある。さらにGOZO CINEを2巻上映との事だ。
時間がこうして再びの邂逅を準備している。
秋空が深まるように、心の底にも深く見えない空がある。
*収蔵品展「岡部昌生初期作品を中心に」-10月23日(火)-
11月4日(日)am11時ーpm7時:月曜定休。
テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向
tel/fax011-737-5503