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テンポラリー通信

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2012年 10月 23日

出版記念会の夜ー蒼月・10月(17)

日曜日の夕刻山田航さんの第一歌集「さようならバグ・チルドレン」
の出版を祝う会が居酒屋ゆかりで開かれた。
総勢20人程集り盛会だった。
日曜日の夜7時からという出かけ難い時間にもかかわらず、
多くの世代、職業、性別の違う人たちが来てくれたのは、作家の
人柄と作品の力に拠るところが大きい。
入院中の居酒屋の名アシスタント千鶴さんも一時退院して甲斐
甲斐しく料理を提供してくれ、店主の宇田川洋さんとともに休店日
にも関わらず店を開けてくれた。
これも山田さんの人徳と作品集の力と思える。
成り行き上司会役は私がして、ひとりづつの紹介と個々の作品印象
を語ってもらった。
出席者がそれぞれの日常において感じた歌の感想を語り、作品が
重なる事無く語られたのはこの作品集の保つ大きな深度に拠るもの
であると、あらためて感じたのだ。
かりん舎の坪井けいこさんの朗読も圧巻で、さすがに朗読歴何十年
の年季の入った迫力であった感心した。
文字を声に出して詠むという事は、文字に響きという脹らみが生まれ
る。
それぞれが心に響いた一首を感想とともに朗読した時間は、作家に
とっても巧拙は抜きにして、誠に得難い時間であったと感じる。
個々の生きている今が、作品を媒介にして共感を伴なって深く透けて
見えてきたからである。
この共有する時間を、美味なるお酒と心の篭った手料理とともに賞味
出来得た事は、何よりも替え難い貴重な時間であったと私は思う。
ただ単に出版を祝うのではなく、個々の生きている日常の些細な心の
片鱗がキラキラと輝くように、選び取られた一首乃至は二首の歌の
感想とともに語られ、これは稀に見る出版祝いの集りであったと今振
り返っている。
年齢も20代初めから70代まで、さらに職業は美術家、写真家、出版
者、学生、フリーター、主婦、役人、学芸員と種々様々でそれぞれの
生活体験が活き活きと語られ熱く渦巻いていた感じがする。
職業と世代を超えた学生時代のような濃い渦は、終盤暴走して中に
は勢いで突っ走った向きもあったと後から聞いたが、これもこの日の
熱気のもたらした結果と思える。
肝心の山田航さん本人の感想はまだ聞いていないが、多分大きく充分
に満足した時間だったと思っている。

帰り際ふっと目をやると、出口の近く故村岸宏昭さんの遺作集の前
にお酒が添えられていた。
店主と千鶴さんの心遣いであった。
そういえば、いつの間にかBGMにこの遺作集のCD曲が流れていた
のだ。
生きている様々な世代・職業の人だけではなく、死者もまたこの日の
集りに参加しているような想いがした。
山田さん、宇田川さん、千鶴さん、そして出席してくれた友人たちみん
なに心から感謝申し上げます。

*収蔵品展「岡部昌生初期作品を中心に」-10月23日(火)-11月
 4日(日)まで。am11時ーpm7時;月曜定休。

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向
 tel/fax011-737-5503

by kakiten | 2012-10-23 13:05 | Comments(0)


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