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テンポラリー通信

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2012年 10月 19日

寒い日の花籠ー蒼月・10月(15)

気温が下がり、スト‐ブが恋しくなる。
そんな寒々とした日、花籠を持ってM君が来る。
ここに花を置いても良いか、と聞く。
え、何で・・?と問い返す。
H嬢の個展を勘違いして某画廊に持って行った。
会期が変更になって、芸術の森美術館の企画展で出品
していると聞き、それからそこへ出掛けたと言う。
しかしそこも作家は不在で、やむなくここまで持って来たと言う。
花籠の事情を聞いて、じゃあH嬢に連絡して今度渡すよ、と
話した。
綺麗な花籠を両手に持って、旭ケ丘から芸術の森の山奥まで
徘徊したM君の純情が微笑ましかった。
一度ここでお会いしたH嬢にすっかり魅せられたのかも知れな
い。後でH嬢に電話で連絡したら、本人はM君の事をあまり憶
えていない様子だった。
KY壁男と私が勝手に仇名を付けたM君の面目躍如たる話だ。
空気だけでなく、個展の会期変更も読めなかったのね。
殺風景な無人の白い会場に、今も彼の残した花籠が不釣合い
に佇んでいる。
M君とはその後芸森美術館の閉ざされた空気感を話した。
山奥の澄んだ光の中に、街中と変わらぬ室内空間を造ってい
る矛盾を話したのだ。
遠く地下鉄とバスを乗り継ぎ700円の入場料を払ってまで花を
持って訪ねても、そこに肝心の作家は居らず監視員に聞いても
親身になって貰えず、行き先を失ってここまで花を持って来た
M君のなんとも切ない気持が、展覧会批判とも重なって火を
噴いた。
私自身もその2日前に展覧会を見てある違和感を感じていたの
で、話は共鳴しさらに炎は燃えた。
M君のお陰で、少し落ち込んでいた気持が回復する。
壁男クンの垂直突進性がこの場合良い方向に働いて、くすんだ
空気を取り払ってくれた気がする。
過激だが純粋で良い男である。
山田航さんの出版記念会にも出席する、と言って本を購入して
くれ感謝である。

*収蔵品展ー岡部昌生の旧作を中心にー10月22日(火)-
 11月4日(日)am11時―Pm7時:月曜定休。

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目斜め通り西向
 tel/fax011-737-5503

by kakiten | 2012-10-19 12:50 | Comments(0)


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