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テンポラリー通信

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2012年 10月 11日

魂のノックー蒼月・10月(9)

電話代に事欠いてあたふたする。
うっかり期限が切れそうになっていた。
友に急場を凌ぐ電話。
電気とか電話とかガスとか水道とか灯油といったもろもろの
いわゆる公共料金と称するものは、正確には公共ではなく
生活生命維持料金ではないか。
孤独死とかいう都市の片隅でそっと亡くなられる人は、みな
この公共料金未払いで、使用を止められて見つかる。
通常<公共>という言葉にはどこか上から目線のお上の臭
いがして、権力的な傲慢さが漂う。
本来の公共とはどこかズレて下支えの視座がない。

そんな少し落ち込んでいた時、野上裕之さんのブログとニュ
ーヨークから届いた吉増剛造さんの手紙に救われる。

 31歳はあっという間だった。
 ・・・子が生まれた瞬間確かに自分は 「父」になったが、
 子に与える乳が出せる訳でもない。
 母はその乳で子に肉を与える授肉の存在だ。
 では父の乳とは何で あろ。
 と考えた時に彫刻をつくろうと思ったのだ。
 ・・・・作品は息子の為に。制作行為は自分の為に。

 乳は血。父の乳は知。子は星。私から最も近き、
 そして遠き小さな恒星。

札幌を離れ遠く広島・尾道で船大工をしながら彫刻を続けなん
としている友人野上さんへのエールの気持で始った今回の野
上裕之展が、今確かに彼の心へと届いて、父の自覚と同時に
彫刻を創るという素直な気持がこのブログに顕われていて、
本当に嬉しかった。
<生き生き、活き活き>という生活原義の基底が脈々と波打
っている事をこの文章に感じたのだ。

もうひとつは、和紙の便箋に5枚びっしりと書かれた吉増剛造
さんの熱い手紙である。
 
 ・・・昨夜懐かしいメカスさんと旧交をの盃にてとうとうこの半月の
 旅も終りました、紐育の朝・・・。
 メカスさんにもみてもらいましたが、旅先でも毎朝綴りつづけてい
 ます「超大作」ファイル・・。今朝二百十六葉(荒計算で四千行を超
 えていますが・・)・・・・
 この冬はテンポラリーさんの片隅にこの「大ファイル」をそっと紙の
 楽器みたいに置き、会場では吉原洋一氏の一年の写真と鈴木余
 位 さんの映像作品の共時・・・といった景色をおもい浮かべおりま
 す。

超大作の詩篇はさらに一年の時をかけ全展開(全公開)は2013年
師走にという提案が続いている。
原稿も三百葉を超える見込みという。
この大長編詩の途中までをファイルにして今年は会場に置き、来年
には全公開という壮大なプランが提示されたのだ。
これはひとりの大詩人のライフワークとの道行きの行程でもある。
些細な現実に落ち込んではいられないのである。

<生き生き、活き活き>を疎外するライフラインとの闘いを、志を強く
して生き抜かねばならない。
野上さんの彫刻への想い、吉増さんの詩作への想いを熱く受け止め、
寒気増すこの北の地で燃やすパトスを奮い立たせなければならぬ。
ありがとう、野上くん、吉増さん・・!

*野上裕之展「彫刻の軌跡」-10月14日(日)まで。
 AM11時ーpm7時。

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向
 tel/fax011-737-5503 

by kakiten | 2012-10-11 13:19 | Comments(0)


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