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テンポラリー通信

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2012年 09月 29日

進水式ー月暈・9月(21)

尾道の野上裕之さんからのメール。
今朝は進水式でいつもより早出して出勤という。
水深が浅いと船底が擦れるので、満潮の時間でないと
船がスムースに進水しないから潮に合わせて早起きという。
同じ日の夕方網走の佐々木恒雄さんとも電話で話す。
今年は海が暖かく、南の魚が今も獲れているという。
夜から朝方海に出て昼過ぎ陸に帰り水揚げしてこれから
一眠りという。
ふたりとも仕事の合間に作品を創り、こつこつと発表している。
こうして具体的に日々の生活情報を聞いていると、それぞれが
本当に食う為の生活に追われながらも必死で制作に励んで
いる様子が感じられる。
<生き・活き>が生活の原義なら、このふたつの生活の在り様
とは一体なんなのか。
<生活>を社会経済的インフラ条件から、より本質的な個の
生き甲斐・命の充実に純化する為に表現という行為があるよう
な気がしてならない。
<生活>に纏わりつく条件的な附帯事情を削ぎ落として、本来
の<生き・活き>という生命の<生活>軸に根を洗い幹を伸ば
す、そんな行為が表現者の闘いではないのだろうか。
作品とはそうした人間の生活への純化行為の結晶とも思える
のだ。

そうした野上さんの作品たちが、今日も静かなモノクロームな翳
を光に吸わせて佇んでいる。
鉛の作品が黒い額装に映えて、白い壁に浮かぶ。
女房・子供を抱え汗まみれで稼ぎながら、ふっとその生活の垂直
な軸心において見詰め創った心の結晶のような作品たちは、鈍い
光を放ってもうひとつの船の進水式の錨のようである。

*野上裕之展「彫刻の系譜」-10月7日(日)まで。
 am11時ーpm7時:月曜定休。

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向
 tel/fax011-737-5503

by kakiten | 2012-09-29 12:23 | Comments(0)


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