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テンポラリー通信

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2012年 09月 04日

種子と素粒子ー月暈・9月(2)

昨日の深夜、雷の音で目が醒めた。
窓を開けると雷雨であった。
どこかに雷が落ちたようだ。
昨日はずっと湿度が高かった。
今朝も湿度が高い。
体が汗でベタつく。

クレーの花がまだすっと立っている。
休み明けの今日、シャッターを開け目がすぐそこに行く。
種子から一年かけて咲いた花。
一昨日に見た物理学の素粒子の話を思い出していた。
ヒッグス粒子という素粒子の発見の話である。
原子を分解し幾つもの素粒子を発見し、最後にヒッグスという物理学者
が新たな素粒子の存在を想定しそれが認められた話である。
この粒子は粒子というより<場>というものだと解説していた。
磁場というような<場>という事である。
幾つもの素粒子が発見され、それらがどんどん細分化し同時に質量が
無化し、どうして質量が生まれるのか、そこが大きな問題だったという。
そこで<場>という素粒子が発見され、これが有機的な媒介の役割を
果たすという事らしい。
だから正確には、ヒッグス素粒子というよりヒッグス場という方が正しいと
いう解説だった。
物質の元の元まで分析してその成立過程を調べる純粋科学が、何故か
クレーの花を見ていると、これが種子だった時からある環境つまりは
<場>を媒介する事で、花が開く過程と似ているような気がするのだ。
種子は素粒子で、ビッグス場は土壌ではないか。
種子だけでは花は咲かない。
水や土壌という環境の場を媒介して種子は有機的に開き花咲くのである。

<場>もまたひとつの素粒子であるという発見は、芸術・文化における
<場>の問題としても、深く関わって在るように思われる。
作品を創造する作家たちが種子であり素粒子とすれば、<場>という
素粒子もまた大きな媒介となる素粒子である。
質量を与える大きな役割を、この<場>という素粒子は保っている。

クレーの花を見ながら、この花に頂いた勇気とは何かを、ふっと理解した
ような気がして嬉しかったのだ。

*「記憶と現在」展ー9月9日(日)まで。am11時ーpm7時。
*秋田奈々写真展「呼吸する温度」-9月12日(水)-17日(月)

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向
 tel/fax011-737-5503

by kakiten | 2012-09-04 15:09 | Comments(0)


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