最終日の午後5時から、藤谷さんのライブドローイングが始る。
澱みなく、休まず1時間半のパフォーマンス。
多くの人が声もなく2階吹き抜けと下で、息を飲むようにして見守っている。
一階正面壁から始まり徐々に左右の壁、そして2階の壁余白とドローイング
の範囲が広がる。
最後は2階の北と南の柱にあった短冊形の「野生の柱」2点が裏表一体一点
となり、吹き抜け中央をテングスで吊られて下降しパフォーマンスは終了した。
拍手はしばし鳴り止まず、さらに藤谷さんの挨拶が終るともう一度拍手が鳴り
響き歓声が上がった。見事なパフォーマンスであった。
1時間半、誰ひとりとして席を立つ者もなく息を呑んで見守っていた。
ドローイングの筆捌きが見る者を魅了していたからである。
ドローイングマン藤谷康晴の面目躍如である。
終了後外に面した戸を外して、夕闇に浮かぶ会場を撮影した。
外壁の蔦と一体化した内部空間は、もう燃え上がる刺青小屋のように
美しい異空間となっている。
この日一時だけの藤谷ワールドである。
明日以降作品搬出と壁のペンキ塗りで、この異空間は一晩で消滅する。
十勝からわざわざこの為に来てくれた長谷氏は、何度も来て良かった、と
声を上ずらせて絶賛する。
そして、札幌の人は何故もっと来ないの?と聞く。
考えて見れば、この日来た人たちはみんな恣意的に来た人たちである。
係累はなにもない。
学校の同窓でもなければ、美術のグループでもない。
見たくて見に来た人たちである。
そして最後まで見終り、惜しみない拍手が湧き上がった。
ある意味でこれ以上の評価はないのではないか。
作品は見る人の量数がすべてではない。
二度に渡って鳴り止まなかった拍手の強さは、義理でもお世辞でもない
本物の拍手だった。
長谷さんの、もっと多くの人がという口惜しさはよく解る。
しかしそれは自らの感動をもっと他者に伝えたいという想いから発せられた
ものであるだろう。
その溢れる気持の存在こそが、なによりもの今回の展示とライブパフォー
マンスの成果の評価と思われる。
終了して今日壁のペンキ塗りが続いている。
快晴の心地よい風の通る日。
順調にペンキの乾きも進む。
私が今回の展示のトニカと感じた「海際のコスモス」。
あの白い直線と有機的な青の地紋の作品は、ここに寄贈すると藤谷さんから
手渡される。
彼の6月まで働いていた石狩新港都市を象徴すると思われる作品である。
いつの日か、都市と自然を主題とする展示の時にはきっと素晴らしいポイント
となって展示空間を構成してくれる事だろう。
今からとても楽しみに思っている。
藤谷さん、ありがとう。
*中橋修展「内包ー呼応する場」ー7月20日(金)-25日(水)am11時
-pm7時。
*今村しずかライブー7月29日(日)午後7時~入場料1500円予約完了。
テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向
tel/fax011-737-5503