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テンポラリー通信

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2012年 07月 13日

水の力ー幻月・7月(11)

昨日は一日静かで風もなく穏やかな雨の日だった。
訪ねて来たY氏が、良い雨だなあと呟いていた。
帰宅してTVのニュースを見ると、九州熊本・阿蘇の地方では豪雨で
記録的な被害が出ていた。
川が増水し、普段静かな小川が大河となって氾濫している。
木も山肌も根こそぎ削ぎ落とされ、路上に打ち上げられている。
水の力をまざまざと感じる映像ばかりである。
3・11の大津波の時を思い出す。
この時も水が圧倒的な力をもって、すべての物を押し流していた。
心に沁み込むような優しい雨。
そして何もかも流し去る凶暴な雨。
水とはなんなのだろうか。
水とは神の事ではないのか。
水から生まれた生命が、最後は水によって全てを喪う。
水の保つその大きな強大な力は、人間が神と呼ぶものそのもののような
気がしてくる。
人体の70%も水によってできているという。
水によって生かされ、水によって終末もある。
生と死の挾間を繋ぐものが、水の存在なのかも知れない。
昔の人は言った。
死に立ち会う事を、<死に水をとる>。
生まれてすぐ死んだ子を<水子>ともいう。
水が生と死を繋ぐ大きな存在である事を、人はきちっと認識していた。
化学の要塞ともいうべき、原子力発電所においても、事故時大きな役割を
あらためて認識させられたのが、水の冷却力である。
ここでも水を抜きに凶暴な原子力の力を制御する事は不可能だった。
破壊と創造の両極を保つ水の力に、人類は永遠の使命として向き合う
課題がある。
時に優しく創造神であり時に凶暴な破壊神でもある水という存在に、私たち
の文明も文化も、もっと引き寄せて言えば身も心も、水の掌の内に在る。

*藤谷康晴展「WILD BRIGHTNESSー幻視の狩人」-7月15日(日)まで。
 am11時ーpm7時。最終日午後5時~ライブドローイング。
*中橋修展「内包ー呼応する場」-7月20日(金)-25日(水)

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向
 tel/fax011-737-5503

by kakiten | 2012-07-13 12:20 | Comments(0)


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