初日の会場撮影がふたり続き、訪問者も落ち着いた夕方、珍しく佐佐木方斎
さんが来る。
自宅マンシヨンの一階旧ギヤラリーTを将棋道場にして1年余。
新作の作品挑戦は今だ実現していないが、6年前を思えば、大分回復し元気
になった。若い学生の瀬戸くんも来て、4人で閉廊後居酒屋ゆかりへ出る。
風雲児だった頃の昔話が多かったが、久し振りに方斎節を聞く。
’80年代の現代作家展時代の逸話、今や北海道美術界の大御所たちの
知られざる話、さらには北大学生時代渡辺伊八郎さんとの出会いにより
美術への傾斜を深めていったエピソードなど、次々に古い話が出て来た。
肝心の今回の藤谷康晴展に印象を聞くと、即座に自分の作品集「自由群」
を思い出すと応えた。
これは一瞬虚を突かれたが、ふとどこかで納得するものがあった。
色彩の集合体として今回の藤谷さんの50枚の作品「WILD BRIGHTNE
SS」が、確かに方斎の作品集「自由群」を彷彿とさせたからである。
次の新作は「自由群」からだなあと、方斎さんが呟く。
すかさず、私が突っ込んだ。
「来年には個展だなあ、方斎、いつまでもあると思うな、親とテンポラリー・・、
だぜ。」
うん、と頷く方斎さんを見て、居酒屋の店主宇田川さんが、壁にサインをして
欲しいと依頼する。
これまでも九州の彫刻家阿部守さんや歌手の及川恒平さん等がこの壁に
サインを残している。
佐佐木方斎とサインすると、宇田川さんが日付か何か一言もと声を
かけた。
その後方斎さんが名前の下に書いたのは、「ここに有り」である。
<佐佐木方斎 ここに有り>
この気概を示し得た事で、美術家佐佐木方斎もいずれ復活する事だろう。
藤谷さんの新たな展開は、古豪佐佐木方斎を呼び寄せ内なる何かを呼び
起こしたと私は思う。
20歳になって間もない瀬戸くんや藤谷さん、方斎そして私と、なんの脈絡
もない4人だったが、不思議とどこか気脈の通じた良い初日の宴だった。
*藤谷康晴展「WILD BRIGHTNESS-幻視の狩人」-7月5日(木)-
15日(日)am11時ーpm7時:月曜定休。
テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向
tel/fax011-737-5503