昨夜は台風の影響か、風が強かった。
帰り自転車が風で漕げなくなる。
何度か車を押して歩いた。
今朝は曇天だが、昨夜ほどではない。
生暖かい風が吹く。
路辺の綿毛も濡れて、灰色に固まっていた。
綿毛の飛ぶ季節。
森本めぐみさんも、風という舟に乗って綿毛のように飛ぶのだろう。
人も植物も光合成の活発な季節なのだ。
ある者は東京を離れ故郷に戻り、ある者は故郷を去る。
そしてある人は、故郷で発火する。
ここは、パワースポットですね、と昨日来たM君が言った。
いいえ、トランススポットですよ、と応えた。
temporary、転歩ラリー・・・。
変わる場所、転化する処。
そうあれば良い。
綿毛となって飛ぶのが良い。
そのように作品が生まれ、トランスすれば良い。
隣の大家のテーラーさんが来て、しばし前回の大木裕之展の話題となる。
ゴミ溜めのような会場、そこで夜ふたりで飲んだと言う。
ダンディーな洋服屋さんとゴミの王様のような大木さんの組み合わせが、
おかしくて仕方がなかった。
その様子を映像作家は記録していたから、後にその映像は見ている。
しかしあらためて思い出して話すテーラーさんの話を聞いていると、
なんだか分からないけど、夜大木さんがひとりでいたのでお酒を持って
訪問したのだという。
あれは洋服の仕立て工房のようなものですよ、と私は説明した。
出来上がったスーツの展示ではなく、工房の中の仕立て中のゴミですよ、
そういう場として大木さんの会場の場があった・・。
そう説明すると何となく分かると応えてくれた。
9年目の制作の現場だったんです、それは決して小奇麗なレジデンス
という滞在ではなく、制作の現場そのものの場所造りだったのです。
普段ダンデイーな背広姿を披露するテーラーさんだが、同時に職人として
物つくりの人でもある。
作業場は決して小奇麗な場ではない。
裁断された服地の切れ端、糸屑その他雑多なものが散乱する。
そうした体験的な感覚から、大木さんの会場の現場を理解したと思う。
あのゴミの山も大木裕之の綿毛、落ち葉のようなものなのかも知れない。
それらを丁寧に処理していた時のストイックとさえ思える姿を思い出す。
百のフクシマ、瓦礫のインテリ的観念処理よりも、実のある綿毛のような
現場であった。
職人には職人の気質がある。
分からなくとも何かを感じたから、お酒と食料の差し入れが生まれたのだと
私は思う。
百の観念的コンセプトの擦り合せよりも、はるかに実の付き合い、と
私は感じていました。
そして、吹き抜けの2階上には森美千代さんの写真の乱舞という10年目
の花も咲いて・・。
花も実もある会場でした、そうでしょう、大木さん・・。
*森本めぐみ作品完成展「舟がくる」ー6月24日(日)まで。
am11時ーpm7時:月曜定休。
*藤谷康晴展「WILD BRIGHTNESS-幻視の狩人」-7月5日(木)ー
15日(日)
テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向
tel/fax011-737-5503