ポプラの綿毛が風に飛んでいる。
朝、自転車で走っていると道の両脇が白く帯になっていた。
季節はもう初夏から真夏へ移っている。
ギヤラリーに着くとすでに人が待っていた。
M君である。
先週2回ほど森本さんの制作を見に来て、今日は完成を見に来たと言う。
このところここへ来て何かが解けたのか、もうすっかり常連のような感じ、
親しく話すようになった。
昨夜は見に行くことを考えて眠れなかったという。
作品と場所の両方に磁力を感じている気がした。
一昨日までの公開制作の場は、作品の完成とともに綺麗に片付けられ
タイトル・価格も整えられていた。
M君は一点気に入って予約を入れる。
その後何人かの人が続いて訪れ、最後にO君が来る。
O君は昨日東京から札幌に帰って来たばかりで、荷物はそのままにして
ここへ来たと言う。
6月で大学を中退し、理容師の学校に入り直すという。
手を使う仕事が自分には向いていて、大学を出て就職する道を止めたと
言うのだ。
彼は現代詩手帖の投稿の常連で、詩人でもある。
この先この詩の仕事と、理容の仕事の両方を続けていかねばならない。
東京を去る時には百人近い人たちが別れを惜しんでくれたという。
同人誌の仲間が多いと思うから、それも彼の才能の一部である。
立つ別れで帰ってくる者がいれば、立つ別れで去る人もいる。
森本めぐみさんの新作は、立つ者の潮のような作品である。
作品に付けられたタイトルは「舟がくる」
この舟はどこから来て、何処へ行くのか。
それは多分本人にも解らないだろう。
分かっている事は、舟が来てそこに乗りどこかへ行く確かな予感である。
それが彼女の出立の徴(しるし)である。
その非常に身体的な濃い画面が横一杯に広がってもいる。
*森本めぐみ新作展ー6月24日(日)まで。am11時ーpm7時。
*藤谷康晴展「WILD BRIGHTNESS-幻視の狩人」-7月5日(木)-
15日(日)
テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向
tel/fax011-737-5503