人気ブログランキング | 話題のタグを見る

テンポラリー通信

kakiten.exblog.jp
ブログトップ
2012年 06月 15日

跳躍するようにー命月・6月(9)

黄金の飛沫を飛ばして、白い橋梁のように跳躍するものがある。
鳥のようにも、怪鳥のようにも見えるそれが、右から左の画面にかけて
大きく横切っている。
その下には湿原のような、海峡のような水原が広がる。
内なる吃水線が溢れて正に流れ出ようとしている。
その先に何があるかはわからない。
何も期待している訳ではない。
溢れ出ようとするものだけが真実である。
横幅3m縦幅2mを超える森本さんの大作が次第にその全貌を
明確に顕してきた。
24歳の非常に個人的な新たな転機が、画面一杯に溢れている。
昨日来た人形作家の伽井丹弥さんが、正面に蹲り踊るように金の飛沫を
見ながら左右に揺れて鑑賞していた姿が印象的だった。
伽井さんは舞踏の人でもある。
作品を見ながら身体で反応していたのだ。
多分女性にしかわからないものもある。
その部分に伽井さんが反応している。
この怪鳥のように羽ばたくもの、水原のように下部から中央に横たわるもの
、黄金の飛沫のように羽根を彩るもの、これらすべてが非常に女性的なデイ
テールを顕してもいるように感じる。
しかしして、人がある局面において立つ事を意識した時そこに女性的なるもの
も含めて非常に人間的な心の隆起を感受する事は確かなのだ。
その立つ場として今ここがある。
いつの日か飛び立つ者は、この立った場を再び懐かしく掛け替えのない磁場
として思い出す事もあるに違いない。そう思うのである。
その時広い意味での故郷と呼ぶものはただの場ではなく、意識的な生の源泉
再生の場として立ち顕れる時もある。そう思うのである。
それは私個人の非常に個人的な記憶の風景がそう思わせている。
森本さんが同じように感じるかどうかは別だが、時間の旅は故郷をそのように
甦らせ再生させるものと私は思う。
飛び立とうとする磁力に逆らう力と離れて見える磁場という関係性の内に、広義
の故郷の大地が立ち顕れる。
そこから人は意識的に生を始発する。
生まれ、生き直すようにして故郷が顕れる。
作品とはその過程を純粋抽象して宝石のように結晶する何かでもある。

公開制作展という形をとった今回の展示は、作品の完成を持って来週一週間
展示を延長し続ける。
作家もまた描き手から受け手として、この間作品を見詰める事が出来る。
それが旅立とうとする者への祝儀としての展示ではないか。

*森本めぐみ展ー6月17日(日)まで。am11時ーpm7時。月曜定休。
*森本めぐみ展作品完成展ー6月19日(月)ー24日(日):am11時ーpm7時。

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向
 tel/fax011-737-5503

by kakiten | 2012-06-15 12:34 | Comments(0)


<< 絵図のようにー命月・6月(10)      翳のようにー命月・6月(8) >>