雲が湧き上がるように、シャボン玉が浮き上がるように、
地を離れ、ゆくものがある。
空でもない。勿論地上のものでもない。
逃亡者のように浮遊するなにか。
連日報道される逃亡者の画像を見ながら、ふっとどこかで感応
している自分がいた。
このデスペレートな感情はなんなのか。
東京のK大大学院生のOくんが来て、今企画中の展覧会の話を聞く。
7人の作家で構成される北海道の作家展である。
何度も北海道を訪れたOくんが出会った優れた道内作家を東京で
紹介したいという企画である。
Oくんの感性で選んだ作家たちは、それなりに納得できる人たちが
多かったが、問題はOくん自身の選択がOくん自身の生き方を問う
事に直結している事の自覚である。
ある鑑賞上の高みから、作家を見る事に溺れてはならない。
受け手の感受性のボールは、そのまま己に向かって投げられた
直球でもあるからだ。
紹介という口当たりの良い啓蒙に終っては欲しくない。
企画する方も企画される側も共に相渉る真剣勝負と思うからだ。
そのふたつの相渉る磁場が、展覧会の磁場ともなる。
3日間の休みをとって、森本さんの作品制作のピッチが上がってきた。
横長の大作が、従来にない世界を構築して行く予感に満ちている。
縦長の大作を物にした2ヵ月前の久野志乃さんをふっと思い出す。
ともに何かが変わりだして、視座の軸が立ち上がってきた。
スペインに行く前だった久野さんの作品変化。
森本さんもどこかへ立つ前の予兆に満ちた広がりを見せている気がする。
生きる事と表現する事が不可分の関係性の中で拮抗している。
当然といえば当然だが、企画するキャッチャーの側にもその当然が
不可避に在る事を忘れてはならない。
返す球もまた投球行為であり、受けて返すキックなのだ。
*森本めぐみ展ー6月6日(水)-17日(日)am11時ーpm7時:月曜定休。
テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向
tel/fax011-737-5503