雨の予報が晴れて初夏のような陽射し、そして風が吹く。
初夏のような、ではなくもう初夏なのだ。
季節の底に寒気の溶けやらぬ、あの春の暖かさではもうない。
体の7割近くを占めるという水分に残っていた冬は、もうない。
身体の温度も外気と調節されて、身も心も夏仕上げ。
でも心の内部に穴の空いたような黒い不安のようなものが燻っている。
この黒い雲のようなものは何か。
6月命月。
June brideー黒衣の花嫁。
東京Y氏よりメール届く。
一年かけて撮った吉増剛造の写真を近々送ると。
年末の吉増展にも展示できないか、という内容。
吉増さん三千行の詩篇早くもニ千二百行にさしかかり、と
先日便りにあった。
昨年暮の「石狩河口坐ル/ふたたび」展の展開は、新たな地平を切り開き
年末に結晶する。
ここで生き、ここで繋ぐ。
場の保つ力を信じて、道という首を繋いできた。
その志が時にふっと、俯くビットウイーン。
藤谷康晴さんが7月個展のDMを持参する。
細胞のような小さめの作品を数多く創り、埋めるという。
全作新作で展示に2日間。
先日石狩河口を、先月私と歩いたと同じ道をひとりで歩いたと言う。
海と陸の境の後、今度は陸の境・街道を歩こうか、と約束する。
そして源流の奥の見えない廃墟まで、一年かけて案内する事を話す。
人と人が繋がって道ができるように、首を繋げて道という字もある。
美術・詩を通して、見えない道を繋ぎ、有機的なこの地を再生する事が
出来得るかどうか、いつも迷い、躊躇い、時に心折れそうに生活のアス
ファルトに撃ちつけられそうになっている。
命月・6月。
黒衣の花嫁。
*森本めぐみ展ー6月6日(水)-17日(日)am11時ーpm7時:月曜定休。
テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向
tel/fax011-737-5503