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テンポラリー通信

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2012年 04月 25日

春動くー光陰・4月(19)

季節が動くように、人も動く。
釧路に居たF氏がふらりと来て、今度札幌勤務になったと言う。
さらに今まで繋がったK氏にメールが繋がらないので、F氏に聞くと、
今度はK氏は別の職場に移動したと聞く。
またS氏は某館の館長に栄転したようで、公務員の方の移動が多い
時期である。
清華亭でお世話になったK氏は、文化財課から清田区役所に転勤と聞く。
そんな人事移動とは別に、ここでもふらりと珍しい人が来た。
手書きのポップを描く職業のMさんが、八木さんの絵を見る為来る。
パソコンの影響で、もうこうした手書きの通称ポップ屋さんの出番はなくなった。
今はたまに和菓子屋さんの品名を買いたりするくらいで、仕事はないという。
ちょうど来ていた活字印刷の酒井君とも顔見知りだったので、奥で話し込む。
ともにコンピューター以前の手仕事が活きていた時代の職人気質の人たちだ。
当然話は世間一般の昨今の情勢に対するぼやき話が主体となる。
円山市場の話、新幹線の話、鉄道の話・・等々ぼやきは止まらない。
デパートのバーゲンセールや洋装品のポップと、毎日多量の手書き文字を
書いて納品していた頃の颯爽としたMさんを私は知っている。
Gパンがよく似合い、ジムニ―を乗り回してひらりひらりと華麗に動いていた
姿が印象的だった。
以前はギヤラリーの展示看板文字もよく書いて頂いた。
この文字看板を楽しみにしていた工藝作家もいたほどである。
作品の内容をよく吟味し、紙の色彩・文字の形に一回づつ工夫があった。
そして手書きならではの味が、看板ひとつにも充溢していたのである。
大量の百貨店のポップスとは違って、ひとつの個展・作品展の文字には
集中して心が篭っていた気が今もする。
その為毎年展示をしていた人は、Mさんの看板を楽しみにしていたのである。
そんなMさんがかって八木さんのアトリエを訪ねた思い出話をしていた。
30代の酒井君も含めて、そんなに昔の話ではないはずなのだが、もうひどく
時代が遠くなって時間の経つのが速い。
こうした時間の速さと記憶の濃さは別次元にあるかのようである。
ふたりの会話でいつのまにか長い時間が過ぎ、夕闇が濃くなっていた。
見送りに外に出るとMさんの車は、あの懐かしいジムニ―である。
やあ懐かしいねえと言うと、Mさんも嬉しそうに、またこの車にしたの、と言う。
もうGパン姿ではなかったのに、この時一瞬ひらりと車に乗ったMさんの姿が
かっこいい売れっ子時代のポップ屋さんに戻った気がした。

*追悼・それぞれの八木保次・伸子展ー4月29日(日)まで。
 am11時ーpm7時。

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向
 tel/fax011-737-5503

by kakiten | 2012-04-25 12:27 | Comments(0)


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