光が戻って来た。
晴れた今朝、作品の見え方が違う。
色彩とは、光が生むもの。
同じ色も光によって違う。
季節の光、その土地の光、時間の違いの光。
その光彩を画布に捉えようとしたふたりの画家がいた。
それが八木保次・伸子だ。
四半世紀に及ぶ東京生活を終え、故郷札幌に戻ったふたりが宮の森
の山奥で感じとった光の色。
それは北の札幌の光彩だった気がする。
その光彩を、彩(いろ)のまま画布に叩きつける保次。
その光彩を、花や風物に添わせて塗り込めた伸子。
抽象画と具象画のような分別はそこにはあまり意味がない。
この地の光と色を捉える事がふたりの絵画主題である。
そんな風に今、絵を見ていて思う。
伸子さんの「ふたつの花」の背景にある黄色には、春の光を吸込んだ
福寿草の輝く黄を感じるし、保次さんの油絵「風物」には早春のフキノト
ウの燃えるような緑のエネルギーを感じる。
そしてその光彩とは、この北の大地を一瞬駆け抜ける光と彩(いろ)
の事だ。
共に山頂を駆け抜けた後に頂いた在りし日の葉書の文を思い出して
古いアルバムに綴じていたそれを読み返す。
山頂から駆け下り、湖に流れ、風景のなかを吹きぬけ、
あわただしく はるかな時が盛夏のなかに存しました。
画展のお祝いの御礼と共に御礼申し上げます。
そのうちうまい洋食御馳走したく存じております。
保次さんとともに歩いた時間が、この文から光彩のように甦るのだった。
*追悼・それぞれの八木保次・伸子展ー4月17日(火)-29日(日)
am11時ーpm7時:月曜定休。
テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向
tel/fax011-737-5503