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テンポラリー通信

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2012年 03月 15日

出会いー風骨・3月(11)

春休み帰省中の詩人文月悠光さんが夕方来る。
インフルエンザでしばらく実家で臥せていたという。
その事は、同じ帰省組の文月さんの友人Oくんが今月初め同人誌
「ねこま」3号を届けてくれた時、聞いていた。
そしてこの先に届いた同人誌をたまたま製作合い間に久野さんが読み、
その中の文月さんの掲載詩に、大きく感応していたのだ。
文月さんの詩が製作中の迷いを払拭する勇気になったという。
それは「きれいな窓」という詩の、冒頭の6行であるという。

 カーテンは直線ではなかった。
 波を描いたその足は
 光を背に、幼い私を呑み込んだ。
 うちがわにて
 からだはシトシトと消化され
 ほうぼうへと流れて行った。 

そんな詩との出会いがあった時、その作家が訪ねて来た。
そして今制作中の自分の作品も見てもらえる。
一方思いもかけず自分の詩が他の作品制作に影響を与えている。
こうして出会ったふたりの久し振りの出会いは、二重に嬉しいものだったのだろう。
この後ふたりの明るい笑いが、会場を暖かく包んだのだった。
文月さんは同時に久し振りの個人誌「月光」3号も持参して来た。
その中には昨年暮の吉増剛造さんたちとエルムゾーンを歩いた際に創った
詩も掲載されていた。
この作品は緑の運河エルムゾーンを歩行後集中して創作され、吉増展会場
で朗読されたものである。
今回それにさらに手を加えまとめたものだ。
「雪の中のけもの」と題されたこの詩は、あの日の不思議な8人の雪の中の
歩行の旅をふっと思い起させてくれた。

 ひとたび足を差し入れれば
 固く沈み込み、
 容易に一歩を悟らせない。
 雪にうばわれた踵を取り戻すとき
 真っ白な手のひらに立つ、
 私は影となる。
 うずもれながらも
 くっきりと足を運ぶ、一体の影。
 息を白く吐き出して、惑う。
 この影は、このからだは、
 私なのだろうか。
 わたしのものになりえるか。

短い滞在製作中に、濃い時間が訪れていた。
今日で一旦ここでの制作は終るけれども、なお渡欧前までの時間制作は
続くだろう。
正面の大作完成にさらなる精進が重ねられ、この作品は今までにない
久野さんのこれからのメルクマールとなるに違いない。

*久野志乃滞在制作展ー3月15日(木)まで。
*斎藤玄輔展ー3月20日(火)-4月1日(日)

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向
 tel/fax011-737-5503

by kakiten | 2012-03-15 13:40 | Comments(0)


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