久野志乃さん滞在制作5日目。
今までにない作品が顔を出してきた。
黒い背景に黄金の泡、水中深く昇る、浮く。
卵形の美しい中品が今朝完成していた。
正面の大きな縦の作品にも力が漲っている。
スペインに発つ前のコアが出来てきたと感じる。
赤土の大地スペインで、この青と黄金色の作品は
きっちりと存在感を放つと考える。
彼女の主題である水のイメージが豊かに、その本来の
多様性の内へと深化してきた所為と思える。
岸壁や岸辺の少女のような、こちら側に立つ孤我が消え、
水中深く浮き漂って一体化し表現されてくる何かがある。
何かが抜けたのだろう。
先の森本めぐみさんの恵庭火山の火の赤。
久野志乃さんの様似海岸の海の青。
それぞれが出生地の主題色を基調にして、炎を出してきた気がする。
火の炎。水の炎。
ふたりがここで滞在制作をして、出して来た独自の色彩。
その彩(いろ)に、それぞれの生まれ育った大地・水の彩(いろ)が
迸(ほとばし)り出てきている。
意識の土の奥深く眠っていた深い水脈、深い鉱脈。
その産まれ育った土地と深く結びついた意識のトニカ、基層のもの。
そこに表現が触れることで、意識が澄んで根を張る。
作品が有機的な表現の森を生み出す。
海藻の森になるかも知れませんね、久野さん・・、
*久野志乃滞在制作展ー3月15日(木)まで。
*斎藤玄輔展ー3月20日(火)-4月1日(日)
テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向
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