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テンポラリー通信

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2012年 03月 04日

3・11へー風骨・3月(2)

3・11へもうすぐ1年が来る。
朝日新聞<電子版>と現代詩手帖の企画で、3・11を主題に12人の
詩人の12回の年間連載企画が始っている。
その一回目が今発売中の現代詩手帖3月号に載っている。
先月6日石狩河口来訪時の吉増剛造さんの序の詩添え書きには
次のような言葉が記されている。

 ・・・言葉を根のところで一針、一寸縫うように、・・ほぼ、一年間の「詩作」
 となる筈、・・・三千行程の長途となることでしょう、・・・。

18年前同じ石狩河口で産まれた長編詩「石狩シーツ」は、800行程だった
から、今回の三千行という詩はその約4倍近くになる。
昨年暮テンポラリースペースで行なわれた吉増剛造展「石狩河口/座ル
ふたたび」が発火点となって、詩人の記念碑的な作品のスタートが始った
のだ。この時ともに歩いた雪の「緑の運河エルムゾーン」の行程が、この
三千行の試作品への導火線ともなったと思う。
これから一年かけて、如何なる宇宙空間が言語表現として生まれていくか。
長い一年間のマラソンとなる。
それはなにも吉増さんだけの問題ではない。
阿部守×高臣大介展「野(ヌプ)傍の(サム)泉池(メム)」で展開した、清華亭
を拠点としたエルムゾーンの展開のさらなる深化が同時に求められてもいる
のだ。
何故なら昨年12月「石狩河口/座ル ふたたび」展冒頭に、吉増剛造は
一年後同じ時期同じ場所での個展を周囲に宣言していたからである。
この時点ではまだ朝日新聞の一年間の話は出てはいなかった。
その事とは別に<ふたたび>の出発は切られていたのだ。
18年前の4ヵ月かけた「石狩シーツ」完成時の草稿展と同様に、これからの
一年が始っているように思う。
凄い一年となるなあ、と身震いする。

「新幹線」誘致に象徴される都市の直線回路展開に対し、「緑の運河エルム
ゾーン」の提示にはより有機的な自然回路の対峙が問題の根底にはある。
その対峙の磁場として、これからも今までもテンポラリーの磁場がある。
思えば個々の首が連なるようにして、<道>という言葉もある。
風景の中に大切な<首>があるように、人の中にも<道>という心の
<首>の繋がりがある。
この繋がりの<首>を、<con(ともに)>という道で、個々の<temporary>を
繋ぐ。
緑の運河エルムゾーンとは、そうした石狩への<道行き>でもある。
そしてその<道行き>とは、ランドとしての石狩の再生を意思し、都市帝国主義
に打克つ試練と思える。

*久野志乃滞在制作展ー3月中旬予定。
*斎藤玄輔展ー3月20日(火)-4月1日(日)。

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向
 tel/fax011-737-5503

by kakiten | 2012-03-04 14:07 | Comments(0)


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